経済
国内初、廃プラからメタノール合成 ガス化炉で分解、CO2排出削減へ 神鋼環境ソリューション
神鋼環境ソリューション(神戸市中央区)は23日、純度が低く、再利用が困難な廃プラスチックを分解し、樹脂原料として使われるメタノールの合成に適したガスを生成する実証事業を始めたと発表した。同社が保有するガス化炉を活用し、海洋プラごみなどの処理促進や二酸化炭素(CO2)排出を抑えたメタノールの製造で資源循環型社会への貢献を目指す。
大栄環境(本部・神戸市東灘区)、三菱ガス化学(東京)など5社の共同事業で、環境省のCO2排出抑制対策事業に採択された。堺市にガス化炉を設置し、同市や大阪府から海洋プラごみなどの提供を受ける。廃プラからメタノールを合成するのは国内初という。
神鋼環境によると、年間約800万トン出される廃プラのうち、再利用は4分の1にとどまる。リサイクル品の品質を保つのに一定の純度が必要なためで、残りは埋め立てや焼却処分されているという。
実証では、金属などの異物が混ざった廃プラを、ごみ処理に使用する流動床式ガス化炉で分子レベルまで分解。ガス化した後にメタノール合成に適するように加工し、市場での取引に応じた価格の実現を目指す。
メタノールはほぼ輸入に頼っており、例えばこの方法で年間6万トンの廃プラを処理した場合、製造や輸送に伴うCO2排出量を約10万トン削減できるという。
2023年9月ごろの運転開始を予定、24年3月まで実証する。神鋼環境は「技術を通じ、プラスチック資源の循環と脱炭素化に貢献したい」としている。(横田良平)