経済
運搬や配膳、ロボットにまかせて 川崎重工、国内初の実証試験を公開 23年度から販売へ
川崎重工業(神戸市中央区)は8日、ロボットがオフィスのドアを開け、飲み物を配膳する国内初の実証試験を公開した。実証は自社開発の双腕型自走式ロボット「ニョッキー」を使い、開発拠点の明石工場(明石市)で実施。2023年度からパートナー企業に販売し、飲食店や屋内配送、警備・案内などサービス分野への導入を目指す。人口減少が進む国内の労働力不足に対応したい考えだ。
ニョッキーは身長1・5メートル、体重75キロ。最大重量6キロを持ち運べ、最高時速6キロで走る。顔の位置にある画面には表情を映し出す。21年春に開発され、社外でエレベーターの乗降や荷物の運搬、配膳の実証試験に取り組んできた。
今回の実証では、飲み物とトレーを載せたニョッキーが記憶した地図を頼りに、指定された会議室の前まで移動。頭部のカメラでドアを示す目印を読み取り、両腕と台車を駆使してドアを開けて入室した。
実証は7月25日~8月12日に実施。特にドアは一つ一つ重さや形状などが異なるため、ロボットが開けるのは非常に難しいという。
実証を公開後、ロボットディビジョン先進技術部の掃部雅幸部長は「大きな一歩を踏み出せた」と手応えを強調。日本でロボットを導入している産業は国内総生産(GDP)に占める割合が3割にとどまるといい、「普及していないあらゆる業種に市場参入する」と意気込む。同社は25年までに屋内、30年までに屋外で活躍するロボットを投入する計画だ。(大島光貴)