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海から飛び立ち8の字旋回に成功 無人飛行艇が神戸沖で4分間の実演 新明和工業、商品化へ

2022.09.09
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飛行実演に臨むため海上に出される新明和工業の無人飛行艇=2日、神戸市中央区港島1(撮影・長嶺麻子)

飛行実演に臨むため海上に出される新明和工業の無人飛行艇=2日、神戸市中央区港島1(撮影・長嶺麻子)

飛び立つ前の無人飛行艇。海上で離発着できるのが特長だ=2日、神戸・ポートアイランド沖(撮影・長嶺麻子)

飛び立つ前の無人飛行艇。海上で離発着できるのが特長だ=2日、神戸・ポートアイランド沖(撮影・長嶺麻子)

神戸港の上空、高度約20メートルを自動制御で飛ぶ無人飛行艇=2日、神戸市中央区(撮影・長嶺麻子)

神戸港の上空、高度約20メートルを自動制御で飛ぶ無人飛行艇=2日、神戸市中央区(撮影・長嶺麻子)

 新明和工業(兵庫県宝塚市)は、水上での離発着が可能な無人飛行艇の開発を進めている。8月下旬に機体が完成し、今月2日には神戸・ポートアイランド沖で4分間の飛行実演を行った。自動制御で8の字形に2度旋回する飛行を見せ、着水時には集まった観客から拍手が起こった。

 機体は全長3メートル、幅4メートル、高さ0・9メートル。軽くて強い炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を使い、重さ25キロ未満で運用する。電動で双発プロペラを備え、巡航速度は時速約60キロ。飛行実演は神戸で開かれた「第1回ドローンサミット」の一環として行った。

 開発はエンジニアの技術の向上・伝承と、航空産業の人手不足に伴う無人機需要を取り込むのが狙い。世界で唯一、外洋で離着水できる海上自衛隊の救難飛行艇「US-2」の製造で培った技術と、先行開発した長時間滞空が可能な固定翼型無人航空機のシステムを組み合わせた。

 用途は、海底の資源、エネルギーの調査を行う水中ドローンや潜水艇を目的地へ運び、回収することや、離島への物資輸送などを想定。同社によると、今回の機体は搭載するセンサーや飛行制御の研究を念頭に置いて開発しており、商品化には大型化が欠かせないという。

 飛行実演では安全確保のため、離着水は手動で操作したが、理論上は完全な自動飛行ができるという。同社航空機事業部技術部システム課の小松聡課長は「数年以内には形にしたい」と語った。(大島光貴)