経済
「ばれると思わなかった」「昔から続けていた」「急にやめられなかった」 三菱電機不正、調査委が最終報告
三菱電機は20日、一連の検査不正問題で、新たに現旧役員10人に役員報酬の減額や返納を求める処分を決めた。同社の漆間啓社長(63)は同日午後、都内で会見し「多大なご心配とご迷惑をおかけし、改めて深くおわびを申し上げる」と謝罪した。外部の弁護士らでつくる調査委員会とガバナンスレビュー委員会が最終報告書を公表。新たに、検査などの不正が国内計11拠点で、70件判明した。そのうち、兵庫県関連は伊丹製作所(兵庫県尼崎市)や姫路製作所(同県姫路市)など7拠点、61件だった。
今回、5月に不正の発覚を公表した姫路製作所では、さらに33件の不正が明らかになった。新たな判明分の半数近くを占め、不正は、前回公表後の8月ごろまで続いていた。
不正を行っていたのは同製作所の回転機製造部。遅くとも2010年ごろから続いていたとみられる。自動車に搭載する発電機の品質特性に関し、測定結果を実測値から書き換えるなどしていたという。
調査委員長の木目田裕弁護士は「調査委の調査でばれるとは思わなかったとか、昔から続けており急にやめることができなかった、などの説明が多かった」と述べた。このほか、通信機製作所(尼崎市)でも初めて、2件の不正が発覚した。
調査結果の公表は今回が4回目。3回目までの不正の件数を16拠点、計148件としていたが、127件に修正した。今回の判明分を加え、不正の累計は17拠点、197件となる。調査委はこのうち112件を意図的な不正と認めた。
漆間社長は「問題を調査し、失った信頼を回復することが私の責務。今進めている改革をさらに追加し、しっかり取り組みたい」と続投の意向を示した。
さらに調査委は、一連の検査不正問題で、昨年10月に辞任した柵山正樹前会長(70)が電力システム製作所(神戸市兵庫区)の課長を務めていた1990年代に、タービン発電機の試験結果の数値改ざんを主導していたことも明らかにした。実際に測定した値ではなく、修正した値を成績書に記載し、顧客に提出していた。
漆間社長は、柵山氏が不正関与の責任を取り、現在務めている「シニアアドバイザー」を辞任することも発表。本人から辞任の意向が示され、会社として了承したという。(大盛周平、大島光貴)