ひょうご経済プラスTOP 経済 黒毛和牛でミズノが初の「ご当地グラブ」 イチローさんや日米プロ野球選手向けの生産拠点・宍粟で

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黒毛和牛でミズノが初の「ご当地グラブ」 イチローさんや日米プロ野球選手向けの生産拠点・宍粟で

2022.11.17
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宍粟牛の野球グラブを開発したミズノテクニクス波賀工場の西中正登さん(左)=宍粟市波賀町道谷、岸本牧場(ミズノ提供)

宍粟牛の野球グラブを開発したミズノテクニクス波賀工場の西中正登さん(左)=宍粟市波賀町道谷、岸本牧場(ミズノ提供)

投手用の宍粟牛グラブ(ミズノ提供)

投手用の宍粟牛グラブ(ミズノ提供)

 スポーツ用品大手のミズノ(大阪市)が、兵庫県宍粟市で育った黒毛和牛「宍粟牛」の革を使った硬式用野球グラブを開発した。同市には同社の野球グラブ・ミットの生産拠点があり、ミズノ初の「ご当地グラブ」が実現。和牛の革は繊維が入り組んでいるため加工が難しいとされるが、情熱あふれる1人のグラブクラフトマンが試行錯誤を重ねて完成させた。(村上晃宏)

 ミズノの子会社「ミズノテクニクス波賀工場」(宍粟市波賀町安賀)で製造されたグラブやミットは、日米で活躍したイチローさんをはじめ、日本のプロ野球やメジャーリーグの選手に愛用されている。

 2020年秋、ミズノ本社の会議で、同工場がある地域の牛を使った野球グラブの企画が提案された。このアイデアを聞いた波賀工場のグラブクラフトマン西中正登さん(60)は胸を躍らせた。

 西中さんは同町で生まれ育ち、波賀工場などで約40年間、グラブの製造に携わってきた。「いつか地元の宍粟牛でグラブを作りたい」。そんな夢を持ち続けていた中で舞い込んできた企画案に飛びついた。

 同町道谷の岸本牧場の協力を得て、廃棄されることが多い革を仕入れ、特別な生産体制を組んで開発に臨んだ。繊維が詰まっている革をなめし、傷の状況を見極めながら裁断。グラブのパーツごとに革の厚みを変えて組み立て、使いやすさを追求した。

 海外の牛革に比べ、品質の高さを保ったまま加工できるといい、手の動きやボールの形になじむ「しなやかさ」は残しつつ、長く使っても劣化しにくい頑丈なグラブに仕上がった。重厚感がありながら軽快なグラブさばきができるという。

 グラブには特別に「宍粟・波賀」と刻印。西中さんは「地元の和牛で野球グラブを作る夢がかなった。少しでも宍粟のPRにつながれば」と語る。

 販売は東京や大阪市などのミズノの直営店舗4店で限定20個を販売。価格は7万1500円で、1人1個まで。入荷は不定期。ミズノお客さま相談センターTEL0120・320・799