経済
ボート型ドローンで水中の橋脚調査 山電など実証実験 従来に比べ、最大80%の時短に
ボート型のドローンで橋脚の安全性を確かめる実証実験が、兵庫県の加古川、高砂市境の加古川に架かる山陽電鉄加古川橋梁であった。ボートに乗る従来調査に比べ、大幅な時間の短縮や正確性の向上が期待できるといい、県内外の鉄道関係者らが熱心に見学した。
鉄道河川橋梁での実験は世界初という。
山陽電気鉄道(神戸市長田区)とNTT西日本子会社のジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW、大阪市)が、兵庫県と新産業創造研究機構(NIRO)の支援を受けて実験している。
橋脚は、川の流れで根元の土砂が流出すると傾いたり、倒壊したりする恐れがある。このため、鉄道各社は、定期的にボートに乗るなど橋脚近くで、おもりの付いた糸を垂らして川の深さを計測し、点検を続けている。作業に要する時間や労力の低減が課題となってきた。
今回の実験で使ったドローンは、JIWが特許を持つ最新型。縦約1・2メートル、横約80センチの舟形の樹脂に小型機のプロペラや通信機などを備える。4方向のプロペラで舵がなくてもあらゆる方向に水平移動。船底に付けたソナー(水中音波探査機)で、水中の様子を把握できる。
実験で、水面に浮かべたドローンは、事前の設定通り橋に沿ってゆっくり自動航行した。根元の様子を捉えたソナーが、川岸のモニターまで無線送信。参加者らは、映し出された川底の形を示す線に見入っていた。分析作業も含めると、おもりを使う調査に比べ、最大80%の時間短縮を見込めるという。
山陽電鉄技術部の宮垣聡太リーダーは「時短につながるのは明らかで、視覚的にも状況を把握しやすい。コスト面などの課題検証を続けたい」と話した。(広岡磨璃)




















