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ボート型ドローンで水中の橋脚調査 山電など実証実験 従来に比べ、最大80%の時短に

2022.12.17
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手前の青いものがボート型ドローン。橋脚に近づき調査する=高砂市高砂町栄町

手前の青いものがボート型ドローン。橋脚に近づき調査する=高砂市高砂町栄町

ソナーが捉えた橋脚周囲のモニター画面。オレンジ色の横線が川底、中央上部の縦線が橋脚を示す(山陽電気鉄道提供)

ソナーが捉えた橋脚周囲のモニター画面。オレンジ色の横線が川底、中央上部の縦線が橋脚を示す(山陽電気鉄道提供)

 ボート型のドローンで橋脚の安全性を確かめる実証実験が、兵庫県の加古川、高砂市境の加古川に架かる山陽電鉄加古川橋梁であった。ボートに乗る従来調査に比べ、大幅な時間の短縮や正確性の向上が期待できるといい、県内外の鉄道関係者らが熱心に見学した。

 鉄道河川橋梁での実験は世界初という。

 山陽電気鉄道(神戸市長田区)とNTT西日本子会社のジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW、大阪市)が、兵庫県と新産業創造研究機構(NIRO)の支援を受けて実験している。

 橋脚は、川の流れで根元の土砂が流出すると傾いたり、倒壊したりする恐れがある。このため、鉄道各社は、定期的にボートに乗るなど橋脚近くで、おもりの付いた糸を垂らして川の深さを計測し、点検を続けている。作業に要する時間や労力の低減が課題となってきた。

 今回の実験で使ったドローンは、JIWが特許を持つ最新型。縦約1・2メートル、横約80センチの舟形の樹脂に小型機のプロペラや通信機などを備える。4方向のプロペラで舵がなくてもあらゆる方向に水平移動。船底に付けたソナー(水中音波探査機)で、水中の様子を把握できる。

 実験で、水面に浮かべたドローンは、事前の設定通り橋に沿ってゆっくり自動航行した。根元の様子を捉えたソナーが、川岸のモニターまで無線送信。参加者らは、映し出された川底の形を示す線に見入っていた。分析作業も含めると、おもりを使う調査に比べ、最大80%の時間短縮を見込めるという。

 山陽電鉄技術部の宮垣聡太リーダーは「時短につながるのは明らかで、視覚的にも状況を把握しやすい。コスト面などの課題検証を続けたい」と話した。(広岡磨璃)