ひょうご経済プラスTOP 経済 <フェリシモ、裏表のない服>(上)向き気にしないTシャツや靴下 ずぼらでも障害あっても誰でも着やすく

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<フェリシモ、裏表のない服>(上)向き気にしないTシャツや靴下 ずぼらでも障害あっても誰でも着やすく

2023.04.03
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「裏表のない世界」の着用例。全盲の夫婦ら障害のある人も商品開発に協力した(フェリシモ提供)

「裏表のない世界」の着用例。全盲の夫婦ら障害のある人も商品開発に協力した(フェリシモ提供)

片方だけ裏返っていても目立たない靴下。かかとがないのも特徴=神戸市中央区新港町、フェリシモ

片方だけ裏返っていても目立たない靴下。かかとがないのも特徴=神戸市中央区新港町、フェリシモ

 表と裏、前と後ろ、どちら向きに着てもOK。自宅でのリラックス時間にも、お出かけにも使える。素早く身に着けられ、障害がある人も着やすい。そんな服を、通販大手のフェリシモ(神戸市中央区)が発売した。Tシャツとパンツ、靴下の3種類を開発。ずぼらな人や、障害がある人へのヒアリングと試着を重ね、多くの人にとって、楽ちんな服を目指した。

 ■裏表のない世界

 名称は「裏表のない世界」シリーズ。着る時はもちろん、洗濯や畳む時も服の向きを気にしなくていい。

 Tシャツとパンツは表裏両面にポケットを付けた。縫い方も工夫して、表裏どちらも同じ見た目。タグはポケットの中に潜ませた。

 靴下は、縫製せずに編み上げており、爪先の縫い目も、かかと部分の折れ曲がりもない。ボーダー柄で、片方だけ裏返しでも左右ほぼ同じに見える。購入は片方ずつできる。

 ■「弱さ」を起点に

 開発したのは、社員有志のプロジェクトチーム「オールライト研究所」。今回の商品が第1弾だ。きっかけは、同社が著名人を招いて開く講演会「神戸学校」で2021年4月に行われたコピーライター、沢田智洋さんのオンライン講演だった。

 沢田さんは、息子に障害があると分かり、福祉の世界へ踏み出した。「できないこと」や「悩み」を起点に社会課題の解決を図る「マイノリティデザイン」を実践。「『苦手』や『障害』は、克服すべきものではなく、世界を良くするためのアイデアになる」と呼びかける。

 ラケットに穴が開いた「ブラックホール卓球」など、年齢や障害に関係なくできる「ゆるスポーツ」の開発者としても知られる。

 講演後、希望する社員が沢田さんと語り合った。まずは各人が「弱み」を紹介。「ずぼらで…」「道に迷いやすくて…」と自己紹介すると、沢田さんが「迷いやすい人は、ナビ(ナビゲーションシステム)の開発に貢献できますよ!」などと応じ、次々と弱みをプラスに変えて、場を盛り上げた。(広岡磨璃)