経済
イトメンのロングセラー「チャンポンめん」発売60年 当時のパッケージを復刻、数量限定で販売
兵庫県西播磨を代表するロングセラー商品、即席麺の「チャンポンめん」が5月、発売から60年を迎える。製造元のイトメン(同県たつの市)は、即席麺各社がしのぎを削り、新商品が登場しては消えていく業界にあって、独自の戦略でコアなファンを獲得してきた。チャンポンめんの「還暦」を祝おうと、1963年の発売当時のパッケージデザインを踏襲した復刻版をつくり、数量限定で販売を始めた。(段 貴則)
イトメンは45年、製粉業で創業。小麦粉乾麺づくりを始め、58年に即席中華麺「トンボラーメン」を発売した。その直前に、世界初の即席ラーメン「チキンラーメン」が誕生。タッチの差で「世界2番目の即席麺メーカー」となったが、63年5月、満を持して発売したのが「チャンポンめん」だった。
あっさりした塩味のスープが特徴で、かやくの「エビ・シイタケ」が醸す香りが、スープを引き立てる。塩を加えず、小麦本来の味が感じられる麺に切り替えた以外は、発売当初と変わらぬ味を守る。播磨の実家から家族へ食品を仕送りする際、段ボールにチャンポンめんが入っている-という逸話が語られるほど、ふるさとの味として定着している。
地元で抜群の知名度を広げようと、独自の戦略を採用。「2番じゃだめですか?」「同情するなら食べてくれ!」など、ユニークな宣伝文句も話題を呼んだ。海外にも市場を広げ、南太平洋のタヒチ(フランス領ポリネシア)向けの輸出は半世紀前から続け、現地のシェアは6割近いという。
発売60年を前に、復刻デザインを採用したパッケージの出荷を始めた。5個入り商品(希望小売価格615円)で、温かみのある黄色をベースにしており、昔懐かしい色合いが特徴。5月末までスーパーなどで販売する予定。
同社は「たつの、播磨と言えば『チャンポンめん』を思い浮かべてもらえる存在でありたい」と話している。
■「二八そば」もパッケージ一新、環境配慮型に
イトメンは5月、即席麺「チャンポンめん」に並ぶ看板商品「二八そば」のパッケージを環境配慮型に切り替える。パッケージに必要なプラスチックを3割以上削減する。
「二八そば」は1976年に販売を開始し、半世紀近いロングセラー。
これまで巾着タイプの袋入りだったが、商品容量は変えずに巾着部分をカットして長方形の袋タイプにする。商品サイズが小さくなり、運送時の積載効率も高まるという。