経済
12日は「パンの日」 酵母の輸入額、神戸港が17年連続で全国トップ 22年は過去最高を更新
1世帯当たりのパンへの年間支出金額が高く、ベーカリーも多いことから「パンの街」として知られる神戸市。その玄関口の神戸港は、パン作りに欠かせない酵母の輸入量・額とも、17年連続で全国シェアトップの座を守る。2022年には、輸入額が過去最高を更新した。
今月12日の「パンの記念日」に合わせ、神戸税関が神戸港の酵母の輸入動向をまとめた。同記念日は、兵糧のためにパンが焼かれた記録が残る江戸後期の1842年4月12日を日本のパン発祥の日として、パン食普及協議会(東京)が制定した。
同税関によると、22年、神戸港からの酵母の輸入金額は前年比17%増の14億3千万円。数量は1%増の2269トンだった。世界的な物価高に伴い輸入単価が上昇したことが主な要因で、金額は8年ぶりに過去最高を更新。全国シェアは金額ベースで47%、数量で55・2%といずれも首位。比較可能な1988年以降、05年を除き首位にあり続けている。
酵母はパンのほか酒やビールなどをつくる際にも使われる。同税関によると、神戸港から輸入される酵母は9割以上が製パン用の「パン酵母」。輸入元の7カ国のうち、9割以上をフランスが占める。本格的なフランスパンを作るため、かつて神戸の老舗ベーカリーが全国に先駆けてフランス原産のパン酵母を輸入したことが端緒とされる。
神戸港開港を機に、外国の食文化がいち早く広まった神戸の人々の生活にはパン食が深く根付く。総務省の家計調査(20~22年平均)によると、神戸市は都道府県庁所在地と政令指定都市の中で、2人以上世帯当たりのパンの支出額が全国2位、食パンに絞るとトップ。集積する製パン会社の酵母輸入意欲も高いといい、同税関は「神戸港のパン酵母の輸入は今後ますます増えそうだ」としている。(西井由比子)




















