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店舗巡りながら店員らとチャットで会話 川重がアプリ開発 神戸・三宮の商店街で実証実験

2023.04.13
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アプリ開発を担当した川崎重工業の永原斉さん(右)と三宮本通商店街振興組合の高井学代表理事=神戸市中央区三宮町2

アプリ開発を担当した川崎重工業の永原斉さん(右)と三宮本通商店街振興組合の高井学代表理事=神戸市中央区三宮町2

屋内位置情報サービスを応用したアプリ「リアデュー」のイメージ画面。丸印がアプリ利用者で、オンラインでチャットもできる(川重提供)

屋内位置情報サービスを応用したアプリ「リアデュー」のイメージ画面。丸印がアプリ利用者で、オンラインでチャットもできる(川重提供)

 大手重工メーカーの川崎重工業(神戸市中央区)は、三宮本通商店街振興組合(同)と協力し、同商店街を実際に訪れて店舗を巡りながら、その場にいる店員や買い物客とインターネット上で会話ができるコミュニケーションアプリの実証実験を始めた。もともと電車内で利用しようと考案され、衛星利用測位システム(GPS)がカバーできない屋内でも利用可能。商店街との相性もいいという。

 アプリの名称は、「Real D You(リアデュー)」。チャット機能で実際にそこにいる人とネット上で会話できるのが特長だ。併せて、Wi-Fiや近距離無線通信「ブルートゥース」の電波を使い、屋内や地下でも正確な位置を把握できる。

 川重が、社内制度で募ったビジネスアイデアを具体化した。考案したのは同社の永原斉さん(42)。きっかけは「電車内の人間関係は希薄だと感じていた」こと。「急病人やトラブルが発生してもだれも関わらず、会話のハードルは高い。でも、チャットなら可能かもしれない」と考えた。

 活用法を探る中で、神戸市の仲介で同組合との連携が進んだ。3月、同商店街と南側の三宮センターサウス通のエリアを「ミチニワ」と名付け、活性化イベントなどを開始。ミチニワ仕様にしたリアデューを導入した。同エリアでは、商業ビル内などで百数十店が営業。現在、飲食や物販の約40店舗が実証に参加している。

 アプリは、起動すると地図上に自分やアプリを導入している人の位置が表示され、店員と「席は空いていますか」などとチャットで会話ができる。実証では質問項目を選択する形式だ。回遊を楽しめるビンゴゲームも導入され、今後クーポンの掲載なども予定している。

 「一見関わりがないように思える商店街と重工業の企業だが、『人に優しい』仕組み作りという意識が一致した」と永原さん。同組合の高井学代表理事(57)は「アプリの機能はまだ一部。利用しながらアプリとまちが発展していく過程を経験してほしい」と呼びかけている。

 実証実験は9月末まで。同社は全国の商店街にもアプリを広げていくという。(石川 翠)