経済
脱炭素へ、水素バーナー実用化にめど 道路舗装のアスファルト合材を製造 日工と東京ガスが共同開発
アスファルトプラント(AP)大手の日工(兵庫県明石市)は、CO2を排出しない水素を燃料とする小型バーナー(燃焼装置)を東京ガス(東京)と共同開発し、報道陣に実証実験を公開した。新しいバーナーを使ってアスファルト合材を製造し、テスト用道路を舗装。2024年3月の販売に向けて改良を重ね、30年をめどに大型化も進める。
実証実験は日工が、道路工事などを手がける前田道路(東京)と3月下旬から、茨城県内の同社研究所で取り組んできた。
公開された新バーナーは出力500キロワット。従来の重油に代わって水素と天然ガスの混合か、どちらかで燃やし、CO2排出量を抑えた。当面は高額の水素と天然ガスを混ぜて低コストで運用できる。水素を燃やすと窒素酸化物(NOx)が大量に発生する課題があったが、従来よりも抑えることができた。
実験では、完成した合材を運搬して、テスト用道路を舗装しながら、担当者らが状態を確認。水素によって発生する水分が、設備や合材にどう影響するかなどを検証した。
道路舗装用のアスファルト合材は、製造過程で国内排出量の約0・1%に当たる年間約130万トンのCO2を排出しているという。
日工によると、APは全国に約千基あり、同社がシェア7割を占める。新バーナーを全国のAPに配置すると、年間105万トンのCO2削減につながるという。同社は「水素の供給状況にもよるが、まずは1割を水素バーナーに置き換えたい」としている。(末永陽子)