ひょうご経済プラスTOP 経済 兵庫がノリ生産日本一に 20年ぶり 枚数、額とも 大不作の佐賀抜く

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兵庫がノリ生産日本一に 20年ぶり 枚数、額とも 大不作の佐賀抜く

2023.04.17
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収穫当日、工場で規定のサイズに整えられ乾燥されるノリ=2022年1月、神戸市須磨区須磨浦通6

収穫当日、工場で規定のサイズに整えられ乾燥されるノリ=2022年1月、神戸市須磨区須磨浦通6

ノリが黒々と育った網が整然と並ぶ明石沖の海=2022年12月(ドローンで撮影)

ノリが黒々と育った網が整然と並ぶ明石沖の海=2022年12月(ドローンで撮影)

神戸新聞NEXT

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収穫当日、工場で規定のサイズに整えられ乾燥されるノリ=2022年1月、神戸市須磨区須磨浦通6

収穫当日、工場で規定のサイズに整えられ乾燥されるノリ=2022年1月、神戸市須磨区須磨浦通6

ノリが黒々と育った網が整然と並ぶ明石沖の海=2022年12月(ドローンで撮影)

ノリが黒々と育った網が整然と並ぶ明石沖の海=2022年12月(ドローンで撮影)

 兵庫県産の養殖ノリが今季、生産枚数、額とも20年ぶりに日本一に返り咲くことが明らかになった。昨年まで全国トップの佐賀県が天候不良などで凶作だった一方、兵庫は天候に恵まれて生産量を維持。2000年頃からノリの黒みが出ない色落ちが頻発した対策として、海の窒素やリンなどの栄養塩回復に取り組んだ成果が表れた格好だ。(三宅晃貴、有冨晴貴)

 ノリは全国各地で毎年秋から翌年の初夏まで養殖される。その4割を佐賀、福岡、熊本、長崎の4県にまたがる有明海で生産。佐賀は昨年まで19年連続で、枚数、額ともトップだった。

 兵庫は瀬戸内海沿岸の本州、淡路島の播磨灘や大阪湾で27漁協が、全国の約3割の11億~15億枚を生産。02年の全国一を最後に2、3位などに甘んじてきた。豊かな香りと型崩れしにくさが特長で、主に「兵庫のり」として、全国のすし店やコンビニを中心に消費されている。

 全国漁業協同組合連合会(全漁連)のり事業推進協議会(東京)などによると、佐賀は4月中旬に生産を終え、今季の枚数は前年同期比47%減の約9億枚、額は同23%減の約167億円と激減。秋から冬の少雨や年末に赤潮が断続的に発生し、栄養塩が極度に減ったことが響いたとみられる。

 一方の兵庫は、昨年11月からシーズン途中の今年3月末の生産量が同9%増の約11億3千万枚、生産額は同75%増の約203億円。生産は5月初旬まででさらに増える。適度な雨が続き、河川から海に十分な栄養が供給されたという。

 さらに、ノリの色落ちなどの対策として、県は19年度から全国に先駆け栄養塩の下限値を設定。下水処理場の排水に含まれる栄養分を増やす取り組みも進める。漁業者らも海底の栄養分をかき出す「海底耕運」やため池の泥を海に届ける「かい掘り」などを続ける。県漁連のり海藻部の松尾望部長は「産地を守る対策の効果も出てきた」と話す。

 20年ぶりの日本一について、兵庫屈指の生産量を誇る林崎漁協(明石市)の田沼政男組合長は「全国的な不作は続いており、単純に喜べない。各産地が切磋琢磨して消費者にノリを届けなければ」。佐賀県有明海漁協の深川辰已参事は「海の環境を改善し、来季は例年並みの枚数を採りたい」と再起を誓った。