ひょうご経済プラスTOP 経済 円安追い風、売上高・利益ともに1割超増加 兵庫県内上場71社の23年3月期決算 製造業の利益底上げ

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円安追い風、売上高・利益ともに1割超増加 兵庫県内上場71社の23年3月期決算 製造業の利益底上げ

2023.05.22
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神戸新聞NEXT

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 兵庫県内に本社・本店を置く上場企業71社の2023年3月期決算が出そろった。最終的なもうけを示す純利益の合計は前年比12・6%増の1兆1千億円に拡大。歴史的な円安が外貨で稼ぐ製造業の利益を大きく底上げし、新型コロナウイルス禍からの経済回復を背景に非製造業の業績も改善した。

 売上高は15・5%増の9兆9千万円、稼ぐ力を示す経常利益は13・2%増の1兆3千億円だった。

 円安を背景に過去最高の業績となった企業が目立った。川崎重工業(神戸市中央区)は北米での二輪車、航空需要の回復に伴う航空機部品が好調で売上高、純利益が過去最高。バンドー化学(同)は自動車生産の回復からアジア、欧米で部品販売が好調に推移し、売上高が初めて1千億円を超えた。コロナ禍が和らぎ、神姫バス(姫路市)など陸運3社の業績も回復した。

 資源高、物価高の対応では明暗が分かれた。価格転嫁しきれなかった企業も多く、グローリー(姫路市)は1983年の上場以来初の最終赤字に転落した。

 24年3月期は、未開示の2社を除いて売上高は前期比4・4%増と拡大する半面、経常利益は41%減、純利益は49・3%減と縮小を見込む。為替相場が円高に振れて、川崎重工業をはじめ製造業の利益を押し下げるほか、コロナ禍の混乱で高騰した運賃の下落などが海運、倉庫・運輸関連業に影響する。

 日亜鋼業(尼崎市)、神東塗料(同)は、為替相場や原材料価格の先行きが不透明として予想の開示を見送った。(西井由比子)