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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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たどり着けない? 須磨の名所「白川の夫婦岩」 2019/07/18

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 須磨マンスリーの取材中、1冊の本を見つけた。2004年に神戸市須磨区役所が発行した「伝説の須磨」。何とも威厳を放つタイトルだ。著者は園田学園女子大学名誉教授の田辺眞人氏とある。その冒頭に紹介されている「白川の夫婦岩」が気になった。畳60枚敷ける雄岩(雄高座)と畳40枚の広さの雌岩(雌高座)が現存するという。地図にも名所としてはっきり載っている。早速、夫婦岩のある白川峠に向かった。(川村岳也)

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 市営地下鉄名谷駅から市バス70系統に乗り、揺られること約10分。終点の白川台停留所で下車し、狭い坂道を下ると「夫婦岩 この先750メートル」の看板が現れた。さらに山道を歩き、階段を上ると、「この先400メートル」の看板が。「もうひと息」と進もうとしたが、道が途絶えている。山に立ち入ったが、迷ってしまい、いったん引き返した。

 ルートを変え、東白川台地区から攻める。未舗装の道を進むが、今度は「関係者以外立入禁止」の看板が。行く手は金属チェーンで阻まれている。

 「これでは名所にたどり着けない!」

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 須磨区役所に電話し、行き方を尋ねた。「口では説明できないくらい難しいんです」とまちづくり課長の下條裕介さん(44)らが駆け付けてくれ、最初に引き返した道を一緒に歩いて夫婦岩を目指した。

 うっそうとした森を抜け、急勾配の獣道を上りきると突然、巨岩が姿を見せた。人の背丈をはるかに超える大きさで、その半分は土に埋まっている。「これが雄岩です」と下條さん。イザナギノミコトとイザナミノミコトが日本列島を創造したとき、岩の上で休んだという伝説も残る。広さが60畳かどうかは微妙だが、まるで石の広場のようだ。

 くぼみにたまる雨水を見つけた。伝説の須磨では「寿命水」と説明されている。地元では「体を洗うと疱瘡(天然痘)が後も残らずきれいに治る」と伝わる。すぐ近くに「雌岩」もあった。雄岩とほぼ同じ大きさで、上部はなだらかな平面になっている。

 下條さんらのナビゲートで何とか夫婦岩を見ることができたが、ビギナーには、なかなか「たどり着けない? 名所」のようだ。

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 夫婦岩の帰り、「白川の里三社めぐり」を案内する地図が掲示されているのを見かけた。

 三社とは素盞雄神社(北落合6)、大歳神社(白川)、山伏山神社(同)のこと。いずれの神社も夫婦岩への入り口から、徒歩10~30分ほどのところにある。

 田園風景にとけ込むように建つ三社をゆっくり巡る散策もお勧めだ。