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あかしカイシャ図鑑

あかしカイシャ図鑑(1)サキノ精機

2017.01.01
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熟練の技で金属を加工する社員=明石市大久保町江井島

熟練の技で金属を加工する社員=明石市大久保町江井島

高い技術力をを生かした金属のオブジェ=明石市大久保町江井島

高い技術力をを生かした金属のオブジェ=明石市大久保町江井島

 ■産業用機械の一貫生産/注文に応える高い技術

 最新鋭の大型機械や昔ながらの工具類が整然と並ぶ工場で、幅広い年代の社員たちが、金属の溶接や加工に没頭する。それぞれが黙々と、目の前のものづくりに向き合う姿は、職人という言葉がぴったり当てはまる。

 鋳物や瓦産業用の機器製造を経て、現在は金属加工や各種機械の設計から製造、メンテナンスまで一貫して取り組む。崎野雄生社長(34)は「今までの鉄工所のイメージを変えたい。明石から世界一のものづくりを目指す」と力を込める。

 第1次世界大戦の影響で日本の製造業が発展を遂げた大正末期、鉄工所として江井島で産声を上げた。古来、地元で盛んだった「明石瓦」に関連する機器の製造や開発に取り組み、地場産業の発展を支えた。しかし需要の減少などで瓦産業が衰退すると、平成に入って新たな分野へ挑戦。社内に設計課を新設し、産業用設備機械の設計・製造に着手した。

 崎野社長は2016年6月、曽祖父(そうそふ)から続く会社の4代目として就任。専務時代には、自社のホームページを一新し、製造の現場を記録した動画や社員紹介の写真を載せた。若い世代に興味を持ってもらえるように情報発信している。「長い歴史が培った高い技術力に、製品や技、会社の見せ方、売り方を加え、ブランド化を進めたい」と意気込む。

 15年には新たな試みとして、金属製品のオーダーメード製作に取り組む新事業を立ち上げた。ブランド名は「エスキノ」。主に建築業者を対象にしており、既製品にはないデザインの棚や手すり、台所のスタイリッシュなシンクなどを、職人たちの高い技術力で作り上げている。崎野社長は「これまでの鉄工所は、お客さんの顔が見えない。できる限りエンドユーザー(使用者)の声が聞ける仕事をして、新しい出会いを増やしたい」と話す。

 若い社長が先頭に立って会社を引っ張る一方、同社では豊富な知識や経験を持つ60、70代の技術者も積極的に採用している。15年に入社した濱口日出男さん(74)は、「この年でも必要とされるのはありがたい。目はしんどくなるけど、頭と手を使って新しいことに挑戦できて楽しい」と笑顔をみせる。

 工場には、金属の曲げやレーザー加工ができる大型機械も導入した。「手間はかかっても試行錯誤しながら、オンリーワンのものづくりに挑戦したい」と崎野社長。地元・江井島の海をイメージしたロゴマークを胸に、社員たちはひたむきに汗を流している。(奥平裕佑)

■メモ 1923年創業。現在は自動車部品や食品加工などの産業用機械装置の一貫生産や、製造過程の省力化や自動化機械の開発、金属加工や建築金物の製造などに取り組む。「崎野鉄工所」がルーツで「江井島で初めてラジオを購入したと聞いています。2台買って1台は分解したようです」と崎野社長。資本金1500万円で従業員18人。

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 機械や金属、化学工業などの製造業が盛んな明石。海沿いには誰もが知る大企業の工場が立ち並ぶ一方、明石に根ざした数多くの中小企業が地域経済を陰で支えている。「あかしカイシャ図鑑」では、小さくても、高い技術や独自の発想を持って挑戦を続ける市内企業に焦点を当て、製品やサービスに込められた思いや技、企業の歩みを紹介する。