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<1>有機農園「ばんごんじんじい」 神崎一馬さん(39)姫路市

2016.06.21
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種採り用に残したニンジンの株から咲く白い花と神崎一馬さん=姫路市香寺町行重

種採り用に残したニンジンの株から咲く白い花と神崎一馬さん=姫路市香寺町行重

■年間95品種の農産物を栽培する

 春から初夏、神崎一馬さん(39)=姫路市=の50アールの畑はさまざまな野菜の花でにぎわう。カブやハクサイなどアブラナ科は菜の花。シュンギクはもちろん菊の花だ。見ごろのニンジンの白い花の横で、3月に咲いたダイコンの株が種をつけた。「かじってみたらやはりダイコンの味」と笑う。

 花を咲かせ、実らせた種を採り、翌年にまいて育てる。自家採種の農業を始めたきっかけは、6年前に就農した時、祖父からもらった姫路特産の網干メロンの種だった。

 育ててみると、店頭で見るのよりも大きな実ができる。「気に入ったのから種を採り、大きくしていった」という祖父の話を聞いた時、種の世界が見えてきた。今は地域の高齢農家から譲ってもらった種や全国各地の在来種など約95品種を育てる。

 現代農業は種苗会社が販売する交雑品種「F1品種(一代雑種)」が主流。見栄えの良さや収量の多さが売りだが、一代限りのため、農家は毎年、種を買うのが当たり前になっている。

 一方、自家採種は種が実るまで待たなければならない。非効率ともいわれるが、野菜が花を咲かせる姿に手間を忘れさせる生命力を感じる。「種を残すことに関わるのは、自然を相手にする農家ならではの醍醐味(だいごみ)」

 神崎さんの同年代には、多様性に豊かさを感じて自家採種に挑む仲間が増えているという。在来作物を扱う青果店やレストランもみられるようになった。こうした取り組みをインターネットなどで知った地域の有志に請われて講演に出向いたり、試食会に参加したり、その輪は確実に広がっている。

 「種は農業の自立・自由の基本。どこかの誰かがつないでくれたからこの種がここにある。そのありがたさを感じながら誰かにつなぐ。それが僕の仕事です」

(辻本一好)

【メモ】大学職員などを経て2010年就農。農園名は幼い子どもが話していた言葉から。中播磨の若手農家グループ「HANDS」で、第1水曜にJR姫路駅北の地下通路で直売市を開く。詳しくはHANDSのホームページで。