経済
播磨灘のイカナゴ、隣の海域よりなぜ大きい 研究者の間で話題に 特定の動物プランクトンが関係?
兵庫県の播磨灘で生まれたイカナゴは、岡山県と香川県の間の海域「備讃瀬戸」で生まれたイカナゴよりも体長が2センチほど大きい。この理由について、県水産技術センター(明石市)が調査したところ、播磨灘の方が、イカナゴが好む動物プランクトンが豊富に存在することが原因となっている可能性があると分かった。
瀬戸内海東部で、イカナゴが産卵する主な海域は、「鹿ノ瀬」など大きな砂地が広がる播磨灘と、小規模な砂地の場所が点在する備讃瀬戸がある。大阪湾にも移動していく播磨灘産のイカナゴ(0歳魚)は体長が10センチ弱ほどあるのに対し、備讃瀬戸産は8センチ程度で大きさに差があるという。
隣の海域なのに同じ年に生まれたイカナゴの大きさが違うことは、研究者の間で不思議に思われていた。
同センターなどの研究チームは、瀬戸内の春の風物詩、イカナゴのシンコ(稚魚)漁で近年漁獲量が減少しているのは、「栄養塩」と呼ばれ、海の養分となる窒素、リンが減ったことが要因だと突き止めていた。
さらに海の生態系を詳しく調べるため、同センターは、魚の餌となる動物プランクトンについて2020年度から本格的に調査。これらの海域で、イカナゴが食べる動物プランクトン「カラヌス」などを採取して数を調べた。その結果、カラヌスの個体数は、21年度の月平均で播磨灘の3カ所が1立方メートル当たり77・1~119・9と、備讃瀬戸の2カ所の6・3~17・4に比べて、12・2~6・9倍に上った。
カラヌスは体長3ミリほどで、イカナゴにとって効率良く栄養が取れる。同センターの西川哲也上席研究員(55)は「カラヌスの1個体は、小さなプランクトンの数十から100に匹敵し、春先に多いかどうかはイカナゴには重要」と話す。
その上で「さまざまなデータの蓄積で、解明されていない現象も説明できるようになるのではないか」とする。(森 信弘)
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