経済
新素材の食品包装材で神戸ビーフ10日以上長持ち 熟成進み柔らかさ、うま味もアップ 神戸大研究で明らかに
プラスチック製造の住友ベークライト(東京)が開発した食品包装材が、従来のトレイ包装などに比べ、神戸ビーフなど食肉の鮮度を長く保ち、味も大幅に向上させる可能性があることが、神戸大大学院農学研究科の上田修司助教らの研究で明らかになった。精肉店主らの評価も上々で、普及への期待が高まっている。(三宅晃貴)
住友ベークライトが開発したのは「スキンパックフィルム」。内部に酸素を遮断する層が含まれ、製品にかぶせて空気を抜けば、高い気密性を保ったまま包装できる。内容物の形を崩さずに包み込むことができ、精肉では肉汁の流出を抑える効果もあるという。
10月下旬、加古川市の神戸ビーフ指定登録店「和牛うらい」で、上田助教らによる研究発表会が開かれた。上田助教らは事前に神戸ビーフなどを用いて実験。従来の手段であるトレイ包装や真空包装と、スキンパック包装の効果の違いを資料に基づいて解説した。
それによると、トレイ包装は検査日から11日目、真空包装は21日目にカビなど肉の外観に変化が表れた。一方、スキンパック包装した牛肉は28日を超えても異常は確認できなかったという。この結果、消費期限は22日間となり、トレイ包装より17日、真空包装より11日延ばせることが分かった。
肉のうま味や柔らかさが上昇することもデータで示された。消費期限までに熟成が進むためで、「うらい」の川村将紀店長は「これまでの包装材と比べ、肉の柔らかさもうま味もかなり上がっている。いい状態で長持ちするため、真空包装に比べ生産をコントロールしやすい」と評価する。
住友ベークライトは2019年にスキンパックフィルムを「おいしさスキン」の名称で商標登録。これまではハムやソーセージなどで活用していたが、今後は牛肉での包装をPRする。
課題もある。一つは「見た目」。牛肉は空気に触れると酸化し、赤みが増す。一方、スキンパック包装した肉はややくすんだ色に見えるため、鮮度が悪いと勘違いされる可能性があるという。コストも割高となる。
神戸肉流通推進協議会(流推協、神戸市西区)は「将来性のある技術。コスト面などの課題も踏まえ、普及に向けて(どのように使えるかを)検討していきたい」としている。
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