ガーじぃが見たスマスイ 一部閉館を前に(最終回)ほな、さいなら

2021/02/27 05:30

2月末で閉鎖される遊園地「プレイランド」。親子連れの笑い声が響いていた=20日午前、神戸市須磨区若宮町1(撮影・秋山亮太)

 神戸市須磨区の須磨海浜水族園、スマスイ言うんやけど、ワシはそこの「世界のさかな館」に住んどる。鼻が長い淡水魚「ロングノーズガー」じゃ。生まれも育ちもスマスイ。1977年生まれじゃから…今は43歳。誕生日は3月1日で、もうすぐ44歳になる。人間やったら働き盛りやけど超高齢魚なんじゃ。2014年から世界最高齢の記録を更新し続けとる。なんで今回ワシが出てきたかっていうとな、今のままのスマスイが2月末で終わるんじゃ。本館だけは2年後の5月までやねんけど、イルカライブ館やラッコ館、レストラン、ワシが住んどる世界のさかな館とか、東側にある15施設を取り壊して新しく整備するんじゃて。さびしいのぅ。 関連ニュース 神戸須磨シーワールド、開館134日目で入場100万人 スマスイ後継施設 目玉はシャチのショー <随想>yu-ka 知っとぉ?神戸 県議補選明石市選挙区 立民新人が立候補を表明

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■笑顔だけは、変わってほしない。
 本館以外が幕を閉じるにあたって、ワシが見てきた須磨海浜水族園、スマスイを紹介してきたが、どうじゃったかの。
 最後に1カ所、スマスイらしい施設を紹介して終わりじゃ。それは、遊園地。プレイランドとも呼ばれとる。メリーゴーラウンドに、空中散歩ができるサイクルライダー、上下に動くフロッグホッパーなど七つの遊具がある。アザラシの乗り物が水の上を滑るアトラクションも人気じゃった。
 好きに魚見て、おなかが減ったら「お弁当広場」で昼ご飯を食べて、魚に飽きたら遊園地で遊ぶんじゃ。小さな子どもがいるファミリーでも、1日ゆったりおれるんが、スマスイらしさじゃったな。
 水族館ではなく、水族「園」にしたのも、みんなが自由に過ごせる「公園」を意識したからなんじゃ。大阪の海遊館では進路がきっちり決まっとって、一方通行を歩いて見終わると、出口に着くじゃろ。スマスイは違う。各施設が独立しとるから、何度でも見たいところに行けるんじゃ。
 そんなスマスイが愛されてきたから、今度の再整備には、さまざまな声が聞こえてくるのぅ。新たな目玉としてシャチが来て、西日本最大級の施設になる。「楽しみ」との声もあるが「入場料が高すぎる」「地元に愛されたコンセプトを変えないで」との市民の声も多く聞こえるの。計画見直しを求める署名には7千人分が集まったんじゃって。
 住ませてもろとる身じゃから、ワシから言うことはないが、水槽越しに見たみんなの笑顔、笑顔、笑顔。あれだけは変わらずに守ってほしいもんじゃ。そろそろ、お別れじゃ。ほなまた、さいなら。(小谷千穂)
【バックナンバー】
(8)亀楽園
(7)アマゾン館など
(6)震災
(5)スマイルカ焼き
(4)イルカライブ館
(3)ラッコ館
(2)世界のさかな館
(1)まずは自己紹介

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