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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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将来は登録文化財? 横に動くエレベーター 神戸 2019/09/02

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 神戸電鉄有馬線の車窓からのどかな風景を眺めていると、山の斜面をはうように並ぶ銀色パイプが見えた。「あれは何?」。もしかして、某テレビ局のナニコレ珍百景にエントリーできそうな素材では! 「次はー、花山駅ー」。車内アナウンスが流れる。気になったら調べるのが記者のさが。途中下車し、近づいてみると、その正体は-。何と「日本初の○○」だった。(津田和納)

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 神鉄花山駅(神戸市北区花山台)で下車すると、多くの人が南東方向に歩き出す。志染川に架かる橋を渡り切ると、「花山東団地」と記された看板が。どうやら、山の上には都市再生機構(UR)が管理するマンション群があるようだ。

 銀色のパイプのたもとにたどり着く。先についた住民女性が、ホールの壁に設置されたボタンを押す。近づくと、左右にエレベーター2基を発見した。

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 「花山東グリーンエレベーター(愛称スカイレーター)」。説明には「URが屋外に設置した第1号-」とある。女性と一緒に乗り込むと、上下ではなく、斜めに動き出した。「え? 横向き?」と驚いていると、女性が「山の上まで歩くのしんどいから、斜行エレベーターがついてるねん」と教えてくれた。

 ボタンは「上」「下」の二つのみ。天井下にはつり棒が設置されており、「満員電車のようになれば、棒をつかんでバランスを取るのかしら」と思いを巡らせた。

 約40秒で「上」に到着。ロープウエーさながらの絶景(?)を楽しんだ。ちなみに、階段を上ってみると、私の足で2分半程度。息は切れ切れになった。

 設置者のUR西日本支社に取材すると、団地自体は1970年代後半に開発されたが、エレベーターは84年に設置されたという。全長約62メートルで、高低差は約27メートル。担当者によると、「われわれが誇る日本で初めての斜行エレベーターです」。

 インターネット上では、「乗り鉄」ならぬ、「乗り斜行エレベーター」と呼ばれる愛好家たちが、「スカイレーターは、近い将来の登録文化財候補ではないだろうか」とブログで絶賛しているのも見つけた。

 山に沿う銀色の2本パイプは実は、住民の生活を支える縁の下の力持ちで、日本最古の斜行エレベーターだった。