事業継承編 第3部
居酒屋チェーン クワタ(3)準備 株式移譲を進め遺言も用意
意気揚々と入社した家業の会社に、10億円の負債があり、債務超過に陥っているとは知るよしもなかった。桑田賢(40)は、クワタ(西宮市)の創業者である父に「なんで借金なんかつくったんや」と、毎晩のように厳しく責め続けた。
入社した2001年当時、各店舗が入る四つのビルの土地・建物は主に自社物件だった。1980年代に数十億円を借り入れて購入したが、バブル崩壊で周辺の地価は取得時の4分の1に下落。デフレの波が押し寄せて本業も伸び悩み、返済に苦慮した。それが10億円の正体である。全ての資産を売却しても借金を返せない状態となった。
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