経済
守れ、空のインフラ 被災の空港は今(5)新型コロナ
■手探りの中機能維持図る
ポートライナーを降り、直結デッキを通って神戸空港ターミナルビルへ。手指の消毒、適切な距離、保安検査場前にサーモグラフィー。マスク着用は当たり前になり、飛行機内で搭乗客にマスクが配布される場合もある。
新型コロナウイルス禍の1年で、空港を取り巻く光景も一変した。各地で館内ガイドの電子化や搭乗手続き自動化による非接触の動きも進む。
航空会社でつくる定期航空協会(東京)などは2020年5月、航空分野の新型コロナ対策指針を策定した。接触・飛沫(ひまつ)感染の防止に重点を置き、社会活動を維持するための物流・運送サービスを確保するとした。
各空港も対策を練るが、未知のウイルスだけに手探りの状態が続く。「現時点で正解はない。国の指針などに応じ、順次対応する」と、仙台空港運営会社の更級(さらしな)大介さん(44)。新型インフルエンザの対策指針をもとにする関西エアポートの石川浩司執行役員(61)も「知見もままならない中だが、現在進行形で対処している」とする。
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東日本大震災や台風21号の経験をへて、空港に関わる関係機関が即時に一丸となる態勢づくりが認識されるようになった。各空港は「有事の連携」を事業継続計画(BCP)に明記し、新型コロナへの対応でもこの枠組みを活用している。
関西エアはコロナ対応の総合対策本部を立ち上げ、各機関を定期的にオンラインでつなぐ。台風被災時に課題となった情報共有を円滑に進め、的確な連携を図る。神戸空港では20年10月、航空機事故を想定した訓練で、救護所を「密集区域」として防護服の着用を徹底するなど、コロナ対策を踏まえた実績も積む。
仙台空港も同様だ。運営に関わる各機関が一つになり、感染者発生時の情報伝達や緊急対応を整備する。今年2月13日の地震でも運営会社を中心に情報を共有。関係機関からも被害状況が入り、円滑な情報発信につながったという。更級さんは「各機関の災害への意識が高まってきている」と手応えを語る。
一方、空港の機能はコロナ禍でも重要な役割を担う。関西エアはコロナワクチン輸送に必要な国際認証を取得し、今年1月、関空の輸送体制を構築した。関係機関と協力し、到着から搬出・配送までを1時間以内で完了する計画を立てた。実際のワクチン輸入は未定だが、関西エアは「社会インフラの責務を果たす」とする。
コロナ禍は堅調だった航空需要を奪い取った。関空の20年総旅客数は655万人で、開港以来最低に。神戸空港も163万人と19年から半減した。ただ、コロナが収束すれば必ず需要は戻る。感染症対策のノウハウを学び、対処法を身に付けることも必要になる。
関西エアの石川執行役員は、19年から運用する新BCPを「これで完成ではない」と言う。必要なのは、BCPを絶えず磨き続けること。訓練や研修を重ね、実情に沿った内容にしていくことで、より「使える」計画を目指すとする。
陸路と違い、空路は点(空港)と点がつながれば各地が結ばれる。ヒトとモノの往来は日常への第一歩になる。守れ、空のインフラを。歩みを止めてはならない。(横田良平)=おわり
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