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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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外国人船員の心に寄り添い 明治に設立、神戸マリナーズセンター 2020/09/25

 神戸に、港町ならではの宗教施設があるのをご存じだろうか。上陸した外国人船員たちをサポートする「神戸マリナーズセンター」(神戸市元町通3)だ。国際的な宣教団体が運営する施設は、祈りと交流の場として明治以来の歴史を持つ。普段はあまり足を踏み入れる機会のない、ミナトのもう一つの顔を訪ねた。(杉山雅崇)

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施設の意義を語る司祭のポール・トルハーストさん=神戸市中央区元町通3

 運営を中心的に担う「ザ・ミッション・トゥ・シーフェアラーズ」(船員奉仕会、MTS)は、1856年に発足した英国国教会傘下の団体。世界各地の港に支部があり、神戸は95(明治28)年の設立。1987年に現在地に移転した。宗派・宗教や国籍を問わず、施設の扉は誰にでも開かれている。

 「センターも時代の変化を反映している」と、英国出身で日本聖公会神戸教区の司祭ポール・トルハーストさん(43)は話す。

 訪れる船員は、70~80年代までは英国、デンマーク、ノルウェーなどヨーロッパ出身者が大半。代わって近年は、フィリピンやミャンマー、ポーランドなどアジアや東欧諸国の出身者が数を増している。物流環境が変化し、船会社が人件費を削減してきたことなどが背景にあるという。

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日曜にミサが行われる礼拝室=神戸市中央区元町通3

 日曜のミサや船内での礼拝だけではなく、見知らぬ街での時間を安心して過ごせるよう、サポートするのも大事な仕事だ。

 テーブルや椅子が並ぶラウンジは、20人以上を受け入れることができる。国籍もさまざまな船員が集い、食事や酒を交えてにぎやかに交わり、卓球などに興じる。1本北側の通りは神戸元町商店街という街中にあるだけに、ボランティアの協力で買い物や観光の手助けもする。

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船員たちが記念に貼り付けた各国の紙幣=神戸市中央区元町通3

 目を引くのは、国際電話のある一角。中国の元、米国のドル、ミャンマーのチャット、ベトナムのドン-。船員たちが千社札のように壁に貼り付けた各国の紙幣は、施設の開放性を物語る。

 今は、新型コロナウイルス感染症の影響で、施設の利用者はゼロに近い。だが、トルハーストさんは言う。

 「船で働く人たちの苦労は、普通に生活していると見えにくい。祖国から遠く離れた海で働く人たちの不安に寄り添いたい」

 この場所だからこそ相談できることもある。センターの存在意義は、時代を経ても変わらない。

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 同施設は寄付金で運営。受け付けは同センターTEL078・331・1696