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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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特区シリーズ第8弾は「兵庫」 古都の魅力を軽やかに描写 2020/01/01

記事

 静かに揺れる川面には、滑空するユリカモメが映る。「兵庫運河」の一つ新川運河。赤レンガで舗装された水際の遊歩道「キャナルプロムナード」を歩くと、やや大ぶりな石碑が目についた。

 「兵庫城跡 最初の兵庫県庁の地」

 碑は廃藩置県直前の1868年、この場所に初代の県庁舎が設置されたことを伝える。ここ和田岬周辺は、はるか昔から為政者に重んじられてきた。

 平安末期、平清盛が修築した「大輪田泊」は、日宋貿易の舞台となった。経済と政治の中心地を一つにしようと考えた清盛は、1180年、大輪田泊を見下ろす摂津国・福原(兵庫区平野)に遷都。わずか半年だったが、中世の一時期、兵庫区は確かに日本の中心だったのだ。

 江戸時代以降、兵庫津が北前船の寄港地として栄え、明治期に入ると川崎造船所(現・川崎重工業神戸工場)や神戸三菱造船所(現・三菱重工業神戸造船所)が進出、“企業城下町”として労働者がまちにあふれた。湊川の付け替え工事で誕生した新開地にはダンスホールや映画館が次々オープンし、「東の浅草、西の新開地」の賑わいを見せた。

 「兵庫県神戸市兵庫区」

 「兵庫」を繰り返す地名は、この場所が古都であると同時に現在の兵庫県のルーツであることも示す。神戸版特区シリーズ第8弾は「兵庫マンスリー 古都回遊」と題し、深く、濃く、そして軽やかに、このまちに刻まれる魅力を探る。(伊田雄馬、杉山雅崇)