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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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亡き人や思い人に届けメッセージ 神戸・高取山「心のポスト」 2018/10/27

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 神戸市長田区を一望できる高取山(328・8メートル)。山頂の高取神社拝殿にある心温まる「あるもの」とは-。それは、亡くなった家族や別れた恋人に宛てた“届かない手紙”を投函できる「心のポスト」。愛しかった人への気持ちの整理をしてもらおうと、地元住民や同神社、郵便局が協力して昨年11月に設置した。集まった手紙は、神社でおたき上げをするほか、公開を希望した手紙を朗読する集いも催している。(久保田麻依子)

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 発起人は、高取山の麓に住む元保護司の小西清次さん(83)。定年退職後から妻章恵さん(78)らと登山に親しみ、山の四季を詠んだ歌「高取慕情」が、昨年発行された「六甲山系登山詳細図」に掲載されるほどの大ファンだ。

 ただ、高取山は六甲山系に属するものの、神戸市内にある摩耶山や菊水山に比べて知名度がいまひとつ。そこで小西さんは、東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市にある「漂流ポスト」から着想を得て、心のポストの設置を同神社に提案した。阪神・淡路大震災では同神社も被災。震災直後は、登山道にある「高神の滝」に水くみの行列ができたという。小西さんは「『神の山』とも呼ばれる高取山の歴史や自然を、もっと多くの人に知ってもらいたい」と話す。

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 麓に近い神戸宮丘郵便局が、かつて「ご意見箱」として使い、長年倉庫に眠っていた陶器製のポストを提供。投函口に「心」の文字を入れた。城本浩一局長(46)は「心のポストの話を聞いてぴったりだと思った。日の目を見てうれしい」と笑う。

 家族や知人、恩人に宛てるなど、内容は自由。この1年間で47通が届いた。中には県外から送られてきた手紙もあるという。同神社の岡本延清宮司(59)がおたき上げをしたほか、公開を希望した手紙を読み上げる「朗読会」も、麓のカフェで開いた。

 小西さんは今も杖をつきながら、ゆっくりとした足取りで登山道を上る。「口に出せない思いを高取山と心のポストが受け止めてくれますよ。ぜひ山頂まで歩いて、投函してほしい」。

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 同神社では、その場で手紙を書くこともできる。遠方の人は郵送も可能。宛先は〒653-0863 神戸宮丘郵便局留 長田区高取山町103-2 高取神社「心のポスト」宛。