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M's KOBE

海と山に囲まれた港都・神戸。明治期の開港をきっかけに、映画やジャズ、ファッションなど西洋文化をいち早く取り入れ、モダンでハイカラな街として発展してきました。

神戸新聞では2018年7月から市内9区をひと月ずつ訪ね歩く「マンスリー特集」をスタート。これまで紙面掲載された記事を集めました。神戸らしさを象徴する「海(Marine)」「山(Mountain)」「音楽(Music)」「神戸牛(Meat)」「出会い(Meet)」、そして「マンスリー(Monthly)」の頭文字「M」をあしらった、その名も「M's KOBE」。

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「なんだこれ」珍スポットの宝庫 神戸・水道筋商店街 2018/07/14

 神戸市灘区の水道筋商店街を歩いていると、妙に目を引く看板(チラシ含む)や店名、「絶滅した」と思っていた器具などに出合う。各所に潜む“なんだこれ”を巡り、まちの魅力を再発見してみてはいかがでしょうか?。(那谷享平)

■見るからに安そう

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特売をアピールする札が多すぎて店内が見えない精肉店=灘区水道筋4、牛家水道筋店

 商店街の一角にひときわ鮮やかな店舗。5年前に開店した精肉店「牛家 水道筋店」だ。

 「赤字大奉仕」「激安特価」「本日特売」。派手な文字が躍る黄色い画用紙が間口一面に張られ、店内が見えない。「テレビ番組のロケでは、お笑い芸人が食いついてきます」と店長の山中英樹さん(36)。猛烈なアピール戦略は、兵庫区にある本店譲りだという。

 「見るからに安そう」と主婦たちが店へ吸い寄せられていく。

■悪いやつほど…

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商店街の地下を流れる「盗人川」。水道筋交番のほぼ真下を通るようだ=灘区水道筋3

 水道筋周辺に「盗人川」という物騒な名前の川がある。誰が名付けたか不明だが、コンクリートで護岸された小さな水路で、流れに沿って上流へ歩くと、途中で地下水路に変わる。地下に潜るのはなんと水道筋交番の目の前。悪いやつほど警察から身を隠したがるということか。

■「戦争と平和」

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今も現役で20円で動く乗物。青い鳥と戦車の組み合わせから「戦争と平和」と呼ぶ人もいるという=灘区水道筋3、灘中央市場

 灘中央市場には今も現役の遊具が2台ある。ハトと戦車。硬貨を入れるとその場で前後に揺れる“アレ”だ。近くの商店主らに話を聞いたが、置かれた時期は不明。40、50年前には同様の遊具が置かれていたが、機関車など別のデザインのものだったらしい。

 平和の使者と兵器。対照的な取り合わせは、ロシア文学の巨人トルストイの作品を意識してか、一部で「戦争と平和」と呼ばれているそうだ。

■「モテるって大切」

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【左】「モテる」の重要性を訴える看板=神戸市灘区水道筋4、ゑみや洋服店【右】ゴーリキーの作品にちなんだ店名の喫茶店=灘区水道筋5、ドニエ

 いきなり胸をえぐるような文言。「ゑみや洋服店」の店先に置かれた看板だ。同店の岩永公司チーフ(43)が書いた。

 「どうしたらモテますか?」。下心丸出しで尋ねる私を「誰にモテたいかによって変わります」と穏やかに諭す岩永さん。「そもそも『モテる』というのは異性に限らず、人に好かれるということ」

 職種により、求められる服装の印象は違う。政治家なら誠実さ、コンサルタントなら華やかさ。「ただ、まずは相手が話を聞いてあげようと思える雰囲気が大前提です」

■文学的な商店街?

 トルストイ以外にも文学にちなんだスポットはある。喫茶「ドニエ」の店名は、ロシアの文豪ゴーリキーの代表作「どん底」の原題に由来する。フランスの詩人アルチュール・ランボーをもじった「アルチュー・デ・ランボー」というパブもある。楽しく文学的な気分に浸りたい人は水道筋へ。

■看板イルミネーション

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フルカラーの発光ダイオード(LED)を備えた店舗の看板=神戸市灘区水道筋3

 午後7時、商店街「エルナード水道筋」の照明が落ち、各店の看板が赤、青、緑、黄と自在に色を変えて輝きだす。同商店街おなじみ、看板を使った5分間のイルミネーションだ。

 看板は2012年、アーケードの照明を発光ダイオード(LED)化した際に導入。半透明の板にフルカラーのLEDを備える。「(確証はないが)日本初」という触れ込みだったが、この5分間以外は照明が明るすぎて全然目立たない。

 ちなみに、この5分間に流れる歌は07年に有志が制作した「汗かきえびす音頭」。使いどころがなく放置されていたが、BGMに抜てきされ、今では小学生が口ずさむ。LED化で文字通り「光」が当たった。