経済小説の迫真 同時代の光と影
<経済小説の迫真 同時代の光と影>(7)黒木亮著「地球行商人 味の素 グリーンベレー」 地を這う営業マンたちの情熱
黒木亮が最新作で光を当てたのは、「味の素」で海外市場を開拓してきたチームだ。フィリピン、ベトナム、中国、ナイジェリア、ペルー、インド、エジプト…。うま味調味料を売るために現地に入り込み、地を這(は)うような行商で味を広め、やがて卸売りやスーパーを通じた大量販売につなぐ。世界で展開してきた市場開拓手法を徹底的に書き込んだ。情熱あふれる営業マンたちの群像劇が生き生きと迫ってくる。
「彼らも取材する僕に同じようなにおいを感じて親近感を抱いてくれたと思うんですよね。こいつは現場の人間だと。僕も(前職の)銀行員時代、本社ではなくずっと現場でお金の行商みたいなことをやってたので」
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