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経済小説の迫真 同時代の光と影

<経済小説の迫真 同時代の光と影>(8)高杉良著「小説太陽神戸・三井銀行」 ミドルたちの夢と現実

2023.11.15
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急きょ開かれた太陽神戸銀行の緊急支店長会議。どの顔にも緊張感が漂う=1989年、神戸市中央区、同行本店

急きょ開かれた太陽神戸銀行の緊急支店長会議。どの顔にも緊張感が漂う=1989年、神戸市中央区、同行本店

 「銀行の歴史は合併の歴史」といわれる。神戸と太陽、太陽神戸と三井、さくらと住友-の合併を経て現在の三井住友に至る。神戸銀行に始まる88年の歴史の重要なエポックは1990(平成2)年の太陽神戸銀行と三井銀行の合併だ。

 平成の幕開けを告げる大合併合意に焦点を当てた高杉良は、神戸銀ではなく、太陽銀行の視点でその衝撃を描いた点で出色だ。同銀の源流は東京の無尽会社で51年に日本相互銀行になり、68年に普銀転換、太陽銀行に改称すると同時に都市銀行の一角に加わった。73年に神戸銀と合併し、太陽神戸銀になった。

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