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経済小説の迫真 同時代の光と影

<経済小説の迫真 同時代の光と影>(9)城山三郎著「価格破壊」 流通革命に突き進んだ男の情熱

2023.12.06
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ダイエーの20周年記念祝賀会であいさつする中内功社長=1977年、大阪市北区

ダイエーの20周年記念祝賀会であいさつする中内功社長=1977年、大阪市北区

 アクションノベルの躍動感とともに、それぞれの場面で登場人物の心の揺れが陰影とともに浮かび上がる。経済小説、伝記小説の達人にして詩人でもあった城山三郎の感性のなせる業と言うほかない。

 文芸評論家の小松伸六は「情熱の権化、ある意味では絶対の探求者ともいうべき主人公を経済の面で生かすときの城山氏の筆はすばらしい」と絶賛した。城山作品の系譜で「鼠-鈴木商店焼打ち事件」「辛酸」「落日燃ゆ」など伝記文学は別にして本作を「もっともすぐれている長編小説」と位置付けた。

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