立志編
米穀店いづよね(2)震災 倉庫壊滅、新店舗開業に奔走
空中ブランコに乗っている夢を見ていた。体がゆったりと前後に揺られる。それは、来るべき大地の揺れを、暗示していたのかもしれない。
1995年1月17日、午前5時46分。その瞬間、ふわふわとした感覚を覚えたかと思うと、全身が突き上げられ、ベッドから床に投げ出された。同時にベッド脇の棚にあったテレビもふるい落とされ、あわや顔面を直撃するところを手で払いのけた。階下の商品倉庫から酒瓶の割れる音が聞こえた。「掃除、大変やろなあ」。そんなことを思いながら、倒伏したタンスを乗り越えて部屋を出た。
この記事は会員限定です。新聞購読者は会員登録だけで続きをお読みいただけます。