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立志編

アトラステクノサービス(2)倒産 経営悪化に震災が追い討ち

2018.01.13
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東京・晴海で開かれた見本市の出展ブースに立つ鯛かおるさん(右)=1988年5月撮影(アトラステクノサービス提供)

東京・晴海で開かれた見本市の出展ブースに立つ鯛かおるさん(右)=1988年5月撮影(アトラステクノサービス提供)

 油ろ過装置メーカーに入社し、「食に関わる仕事」の夢が実現して半年後。創業家の兄弟3人がいる会社は1987年の秋、装置販売と製造の二つの会社に分裂した。経営方針の違いが原因だった。鯛(たい)かおるは技術担当の末弟に付き従い、製造会社に勤めることになった。

 社員10人の会社は、新天地でさらに縮小し6人になった。小所帯のため、鯛は油の成分分析に加えて、電話番やお茶くみ、経理も引き受けた。帳簿を付けるようになって初めて、会社の厳しい台所事情を知る。製造会社を率いる末弟は優秀な技術者ながら、お人よしで他人の借金の保証人になったり、兄の販売会社に融資したりしていた。

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