立志編
米穀店いづよね(1)老舗変革コメ販売10年で5倍
寒さが少し和らいだ昨年12月の週末。神戸市東灘区の岡本商店街に、軽トラックが滑り込んだ。米穀店「いづよね」の川崎恭雄(やすお)(44)が、石畳の道沿いに立つカフェのドアを押し声を張り上げる。「まいど、いづよねです」。店員にコメの入ったビニール袋を手渡すと、笑みを浮かべて一礼し、開店準備で慌ただしさを増す店を後にした。
コメはあらかじめ、9合(1・62リットル)ずつ小分けして袋詰めしている。このカフェが1日に炊く分量だ。計量する必要がなく、袋を開けてそのまま炊飯釜に投入するだけで済む。繁盛店で調理や接客に追われる状況を目にした川崎が「少しでも手間を省ければ」と考え出した。
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