福本優研究員
福本優研究員

 神戸らしい風景、京都らしい風景、大阪らしい風景。きっと風景のイメージが湧いてくるだろう。

 神戸だったら、防波堤沿いの港町らしい風景や南京町のにぎやかな祭りのイメージだろうか。

 このにぎやかな祭りに示されるように、「らしい」風景とは、その土地にある建築やランドスケープだけでなく、そこに暮らす人の営みがつくり出す情景もまた重要な要素なのだと気づく。

 では、こうした「らしい」風景とは、大都会だけのものなのだろうか。きっとそうではないはずである。

 もっと小さな町にも、「らしさ」は必ずあるはずである。

 私が今取り組んでいるのは、ミクロなスケールでのその町らしさを見つけ出し、磨くことで地域再生、ニュータウン再生などのまちづくりを進めるための研究である。

 裏を返すと、ニュータウンが抱える課題は均質性・同質性にある。

 個性がなく、都心部への通勤距離や商業施設の規模、そして価格。住宅地はスペック(仕様)によって価値が決まってきたといっても過言ではない。しかし、果たして住宅地の価値はスペックで決まって良いのだろうか。

 今、兵庫県立人と自然の博物館があるフラワータウンでは、再生事業を行政が主導し、進み出している。その動きに呼応した市民が、放課後の子どものための居場所づくりや学びの支援、喫茶店のフリをした心理相談室、小さなマーケットに週末だけの駄菓子屋さんなど、さまざまな活動を具現化させている。そして手前みそだが、フラワータウンには当館もある。

 隣接する他のニュータウン群を見て、「あれが見劣りする」「こんな施設がなきゃだめ」とマイナスのレッテルを貼り、同じものを求めるのではなく、まずは今あるモノ・コトに目を向けて、地域「らしさ」に気付けると再生の方向性が見えるのではないかと考えている。