二つの大震災を題材にした女優竹下景子さんによる「詩の朗読とメモリアルコンサート」が18日、兵庫県西宮市高松町の兵庫県立芸術文化センターで開かれた。3年ぶりに出演した竹下さんは「20年たってもまだ、癒えない心の傷もある。それでも、また前を向いて一緒に歩んでいきましょう」と呼び掛けた。
竹下さんは「阪神・淡路」後の1999年から毎年、神戸市内の朗読会にボランティアとして参加。2012年3月11日からは「東日本」の被災地に開催地を変え、被災者の思いを伝えてきた。
この日は、1999年~2013年に寄せられた詩の中から10編を紹介。ピアニストの林晶彦さんらの演奏に合わせて朗読した。
「何度も叫んだのに 僕の上に被さっているお母さんは動かなかった」。竹下さんが「忘れられない作品」と挙げた「鼓動」では、母親を亡くした少年の心境をたどった。「あの時お母さんの鼓動は 途中からそっと僕の鼓動に重なった」「僕は一人じゃなかったし これからもずっと一人じゃないんだ」
「大切な人は、永遠に心の中で生きているんだと思う。悲しみを力に変えて生きてこられた皆さんに『20年間、お疲れさまでした』と伝えたかった」と竹下さん。涙を何度もぬぐいながら、10編を切々と読み上げた。(前川茂之)