地元で働く ひょうご企業探訪2017
(8)剣菱酒造(神戸市東灘区)
創業500年を超える老舗酒造会社。昔ながらの日本酒の味や文化を守る姿勢を貫く一方、会員制交流サイト(SNS)を使ってイベントの告知やお酒に合う食事の情報などを積極的に発信している。関西学院大の川端基夫教授のゼミ生が、同社の白樫政孝社長を訪ねた。
-伝統を重んじる社風だ。
「ステンレス製やアルミ製が主流の現代でも、木製の道具を使い続けることで、脈々と受け継がれてきた酒造りを守っている。こうした道具をつくる新工場も12月に完成する予定です」
「当社には『止まった時計でいろ』という家訓があります。遅れた時計は正しい時間を示さないが、止まった時計は1日に2度、必ず正しい時間を指す。お客さまの好みは時代とともに移るが、自分たちの味を守っていれば、必ずまた戻ってくるという視点で取り組んでいます」
-営業や情報発信で工夫は。
「専任の営業担当はいません。私自身が営業の役割を担い、4年ほど前から20人ほどの小規模なイベントなどにも積極的に参加して、消費者とのつながりを深めています。また、SNSを使って、当社の酒と合う料理を紹介するなどPRにも力を入れている。和洋問わず、幅広い料理、食材の味を引き立てる日本酒の魅力を、若い世代にもしっかり伝えていきたい」
-欧米などへの輸出も手掛けている。
「欧米やアジアなど8カ国に輸出しているが、『海外向け』の商品はつくりません。国内でも海外でも、私たちの酒をおいしいと思ってくれる人に届けたい。地元・神戸の人たちに向けても、まだまだアピールする余地があると思っています」(まとめ・綱嶋葉名)
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創業は1505年以前。従業員55人。2017年3月期の売上高は32億円。「剣菱」や「黒松剣菱」などの主力商品で根強い人気を獲得している。17年度の採用予定はなし。神戸市東灘区御影本町3の12の5。TEL078・811・0131




















