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カイシャの顔

(6)マルアイ 3色の楕円形、正体は成長の「種」 設立50年でついに芽が出た

2022.08.24
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「発芽」後のシンボルマーク=兵庫県播磨町北本荘1、マルアイ本荘店

「発芽」後のシンボルマーク=兵庫県播磨町北本荘1、マルアイ本荘店

「発芽」前のシンボルマークが付いた店舗=加古川市加古川町溝之口、マルアイ加古川駅前店

「発芽」前のシンボルマークが付いた店舗=加古川市加古川町溝之口、マルアイ加古川駅前店

【使用開始】2021年4月【特徴】種から芽が生え、社名は赤色に。スローガンロゴ「マルごとアイを」も加わった。

【使用開始】2021年4月【特徴】種から芽が生え、社名は赤色に。スローガンロゴ「マルごとアイを」も加わった。

【使用開始】1970(昭和45)年【特徴】赤、青、緑の三つの種の下に、会社設立年を表す「SINCE ’70」が入る。社名のロゴは黒だった。

【使用開始】1970(昭和45)年【特徴】赤、青、緑の三つの種の下に、会社設立年を表す「SINCE ’70」が入る。社名のロゴは黒だった。

 三つ並んだ楕円(だえん)形は、種? それとも豆? 食品スーパー「マルアイ」(兵庫県加古川市)のシンボルマークは、シンプルゆえに想像を誘う。切れ込みが入り、マルアイの頭文字「M」に見えなくもない。「マル」アイだけに、丸そのものという可能性も…。

 「種ですね」。人事総務部の東阪(とうさか)大造係長(41)の回答は明快だった。

 マークは1970年の会社設立時に誕生。東阪さんによると、当時、成長を目指す「種」をイメージしてデザインされたという。色にも意味があり、赤は太陽、青は海、緑は木々や大地-と、自然の恵みを表現。赤=精肉、青=鮮魚、緑=青果と、食品スーパーとして扱う商品にもなぞらえている。

 その種に変化があったのは2021年春のこと。芽が出たのだ。かわいらしい双葉が顔を出し、茎が種をぐるりと囲む。設立から半世紀を迎え、バイヤーや店舗担当者らが所属する営業本部が中心となり、マークを刷新した。芽には、次の50年に向け、さらなる進化を遂げる意志が込められている。

 「発芽」と同時に、「マルごとアイを」のスローガンロゴも登場した。客や働く人への愛を表現し、「アイ」は真っ赤なハートマークで彩られている。

 そういえば、社名マルアイの由来は? 人事総務部の井上勇一部長(64)が「創業者が修業した店がルーツです」と教えてくれた。前身の青果店「堀商店」は、創業者の故堀佳孝氏がベニヤ板と自転車1台で1953(昭和28)年に始めた。堀氏は15歳で「河合商店」という青果商で修業し、「この仕事こそ自分の使命だ」と独立。「河合商店のおかげで生まれた店」と、河合の「合」を○で囲んで「マルアイ」とした。

 創業者が大切にした恩義が、50年を経て大きな「愛」に昇華した。店内では「まるごとアイを マルマルマルアイ♪」とオリジナルソングが流れる。

 改装した店舗から順次、マークは芽が生えたものに代わり、看板にスローガンロゴが加わる。各地で次々に芽吹く種を、アイをもって見守りたい。(広岡磨璃)

マルアイ(加古川市)】1953(昭和28)年6月、神戸市長田区で青果店「堀商店」として創業。70(同45)年3月、現在の社名で会社設立。兵庫県南部に67店舗を展開する。2022年3月期の売上高は714億5千万円。従業員数約3400人。