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カイシャの顔

(12)ホテルニューアワジ 宿に誘う安らぎのメロディー 関西人なら節付けて歌う

2022.12.23
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ホテルニューアワジのCM

ホテルニューアワジのCM

神戸新聞NEXT

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CMへの愛着を話す木下紘一会長=洲本市小路谷

CMへの愛着を話す木下紘一会長=洲本市小路谷

 「ほてる にゅ~う あ~わぁ~じぃ~」(公式サイトの表記より)。関西人なら、字面を読むと節を付けて歌わずにはいられない-。そんなふうに評されるホテルニューアワジ(兵庫県洲本市)のCM。メロディーは1988年ごろの放映開始から変わらない。

 CMを流すと決めたのは、当時、専務だった木下紘一会長(79)。「実は、今のメロディーになる前、二つのCMがあったんですよ」と教えてくれた。ホテルにも記録がなく、ユーチューバーがまとめた動画に残る。

 83年ごろから流した初代CMは、プールサイドでチアリーダーが踊り、「ゴーゴー」のかけ声とともにホテルの名を呼ぶ。数年後の2代目は、アップテンポにホテル名を歌うものだったが、当時の木下さんは満足できなかった。

 頭にあったのは、「伊東に行くならハ・ト・ヤ」、「びわ湖おんせ~ん、ホテル紅葉~」の二つの有名CM。これらのように「誰もが簡単に口ずさめるものでないと」と、三たびの制作を決めた。

 広告代理店からいくつか出てきた案のうち、現メロディーに近いものがあった。木下さんは「演歌風に、少し音を伸ばしてほしい」と注文。2度ほどの修正を経て、納得いくものになった。

 狙いは当たり、お茶の間に定着。以後、CMはリニューアルを重ねるが、メロディーは不変だ。「憧れだったホテル紅葉やハトヤに、浸透度で肩を並べられた」と木下さん。家族旅行で訪れた子どもが、歌いながら玄関をくぐる姿が、何ともうれしいという。

 木下さんは「『一度は泊まってみたい』という人も、リピーターもつくってくれたのがCMの力。経営の一端を担ってくれた」と愛着を隠さない。グループ売上高は、CM前の10倍以上へと成長した。

 作曲したシンガー・ソングライター西浦達雄さん(68)=大阪府吹田市=は「体のおもむくままに作った。だからこそ、多くの視聴者に受け入れられた」と分析。温泉らしい安らぎに満ちたメロディーが、今日も誰かを宿へと誘っている。

【名称】「淡色のリゾート篇」「女子ふたり旅篇」「和のリゾート篇」

【誕生】現バージョンは2018年

【特徴】淡路島出身のモデル朝比奈彩さんが「凱旋(がいせん)出演」。メロディーは「淡色の-」と「和の-」では朝比奈さんが歌い、「女子-」は放映当初からの西浦達雄さんの歌声を使っている。ホテルの特集サイト(https://www.newawaji-hotels.com/pr/asahina/)で視聴できる

ホテルニューアワジ(洲本市)】1953年、木下紘一会長の義父が旅館として創業。現ホテル名に改称後、68年に会社設立。現社長は木下会長の長男学氏。経営難のホテルを傘下に収めて再生させるなどで事業を広げ、グループで淡路島、神戸、京都、四国などに18事業所。従業員計約1600人。2022年12月期のグループ売上高は3年ぶりに160億円を突破する見通し。