カイシャの顔
(10)TOYOTIRE 選手とサポーターつなぐ役割 サッカー日本代表強さ信じ
駆動するタイヤ、自動車のスピードメーター、宇宙から見た地球…。次々登場する丸い形が、ピッチ上のサッカーボールに変わる。そのボールが蹴られた瞬間、「サムライブルー」の躍動が始まる。
選手たちの迫力あるプレーと、タイヤが荒野を捉えて車が疾走する場面がテンポよく切り替わり、力強いメッセージが流れる。「私たちは、青の強さを信じている。さあ、ともに。青く、熱く、走れ。」
昨年、兵庫県内企業で唯一、日本代表のサポーティングカンパニーに就いたタイヤ大手、TOYOTIRE(トーヨータイヤ、伊丹市)のCM。ワールドカップ(W杯)カタール大会で決勝トーナメント進出を懸けてスペイン戦に挑むイレブンを鼓舞する。
同社は2014~16年、当時本田圭佑選手が所属していたイタリア1部リーグ、ACミランのスポンサーを務め、16年からJリーグ1部(J1)ガンバ大阪のプラチナパートナーを続ける。サッカー選手の挑戦をファンとともに応援し、地域のスポーツ振興を支えてきた活動が評価され、日本サッカー協会から声がかかったという。
足を使うサッカーと自動車の足回りを支えるタイヤという関係性に加え、日本代表ユニホームに使われる青色は同社のコーポレートカラーであるとの共通点もある。
笹森建彦取締役は「日本代表の躍動感や真剣なまなざしが凝縮されている。サポーターと選手をつなぐ役割を果たせたら」とこのCMに期待する。同社はタイヤメーカーで国内4位だが、北米を中心にスポーツタイプ多目的車(SUV)やピックアップトラック用大口径タイヤに強みを持つ。かつてはプロ野球選手や芸能人を使った商品CMを流していたが、15年から独自性や挑戦という自社の世界観を伝える内容に転換した。
20年からは「青を灯(とも)せ」というコンセプトのCMを放映中。日本代表のCMについても古口敦規コーポレートコミュニケーション部長は「日本代表を応援している企業姿勢に共感していただき、社員一人一人にも誇りに思ってもらえたら」と語る。(大島光貴)
【TOYOTIRE(伊丹市)】1945年、東洋ゴム工業として設立。2017年、本社を大阪市から伊丹市に移し、19年から現社名。ブランド名は「TOYOTIRES」と末尾に「S」が付く。連結売上高3936億円(21年12月期)。従業員数約1万2千人。