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カイシャの顔

(14)横山製薬 キー、テンポ 時代に合わせ変更 あなたの悩み、イチコロリ

2023.01.27
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ウオノメ、タコ、イボがイボコロリに退治される横山製薬のCM。真ん中が「イボコロリ君」(横山製薬提供)

ウオノメ、タコ、イボがイボコロリに退治される横山製薬のCM。真ん中が「イボコロリ君」(横山製薬提供)

イボコロリのCMのメロディーとともに流れる悪質運転撲滅の動画(横山製薬提供)

イボコロリのCMのメロディーとともに流れる悪質運転撲滅の動画(横山製薬提供)

イボコロリを手にする横山製薬の井上雅文社長=明石市相生町2

イボコロリを手にする横山製薬の井上雅文社長=明石市相生町2

 ウオノメ、タコイボ、イボコロリ~。でんでん虫のメロディーに乗せた「イボコロリ」のおなじみのCM。横山製薬(兵庫県明石市)が足などにできる皮膚疾患の治療薬の宣伝のため、1990年から放映している。

 それまでは長らく女性漫才コンビの春やすこ・けいこを起用していたが、けいこの出産を機に降板。別のコンビを起用したものの、わずか1年で解散してしまった。当時、広告・宣伝を担当していた現社長の井上雅文さん(62)が、同じタレントを使い続けるのは難しいと考え、アニメに切り替えた。

 「面白おかしい」(井上さん)雰囲気を醸し出すキャラクターは、タコに魚と、イボガエル。一見、かわいいキャラだが、目が三角で実は悪者という設定だ。ちなみに、イボガエルは「イボが減る」とも掛けているという。「ちょっと関西のノリですね」

 CMのノリは関西風でも、製品は全国区だ。戦後、2代目社長が北海道から沖縄まで、新聞や雑誌などに広告を掲載。その費用は会社組織にした初年度の47年の売上高で2割以上を割いている。今でも、商品は全国まんべんなく売れているそうだ。

 30年以上、変わらないように感じるCMだが、「同じ音だと耳障りになる」(同)として、キーを変えたり、時代に合わせてテンポを早くしたりしているという。

 このCMの発信力に目をつけたのが、明石署。昨年9月の「秋の全国交通安全運動」に合わせて、悪質運転の撲滅を訴える動画を同社が協力して製作。「靴脱げ、足出せ、イボコロリ」の部分は「悪質運転みんなでコロリ」となっている。県警のユーチューブチャンネルで公開され、バスなどでも映像が流れた。

 明石署とのコラボを機に、液体のびんの形をしたキャラクターにも「イボコロリ君」の名前が付いた。若手社員を中心にこのキャラクターを使ったビジネスを今後検討するという。同社のスローガンは「あなたの悩み、イチコロリ」。CMのエピソードの面白さに記者もイチコロです。

横山製薬(明石市)】1900(明治33)年、薬屋で奉公したという創業者が明石で医薬品製造販売を始めた。当初は煎じ薬や丸薬などの薬を販売。19(大正8)年に現社名とし、同時にイボコロリの製造販売を開始する。現在はウオノメ、タコ、イボの治療薬に特化。資本金2500万円、従業員39人。井上雅文社長は7代目。