モーツァルトの音楽を聞かせた牛から乳を搾った「モーツァルト牛乳」が、10日に発売される。メーカーの淡路島牛乳(兵庫県南あわじ市市善光寺)が、不世出の作曲家の楽曲による牛のリラックス効果に着目して商品化した。「ほんのり甘い口当たり。新型コロナウイルス禍で不安な中、飲む人にも癒やしを届けられたら」と、ブランド力アップを図る。(上田勇紀)
淡路島牛乳の代表取締役鳥井俊廣さん(72)はクラシック音楽の愛好家。10年ほど前に、癒やし効果があるというモーツァルトの音楽療法に興味を持った。自身も酪農家で、約7年前からは「人より耳がいい牛でも試してみよう」と、牛舎で流す。「牛の性格がおとなしく、人なつっこくなった」と感じるという。
同社関連の観光施設・淡路島牧場(同市八木養宜上)で導入したほか、個別に試す酪農家も少しずつ増加。ユニークな商品を企画するに至った。モーツァルトの音楽の説明をデザインに入れたパッケージが完成し、発売準備が整った。
製品用の生乳を供給するのは、乳牛約100頭を飼育する酪農会社グリーンファーム(同市倭文(しとおり)庄田)だ。ここ約2年間、牛舎内に設置したスピーカーで朝から晩まで、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」などを流している。
グリーンファーム代表取締役の木曽耕造さん(64)は「過去にないほど牛が健康になっている。病気が減り、安心して乳を搾らせてくれる」と笑顔を見せる。牧草や穀類を混ぜ合わせた餌にもこだわり、今年1月には淡路農林水産祭で表彰されるなど、乳脂肪分や栄養分の高い乳質が評価されている。
モーツァルト牛乳は1リットル入り324円。淡路島牛乳の牛乳の中では、厳選された酪農家の生乳を使った「匠(たくみ)」を上回る最高級品となる。「すっきりとした後味も特徴。こだわった牛乳をぜひ試してほしい」と担当者。まずは週1回のペースで製造し、農畜水産物直売所「美菜恋来屋(みなこいこいや)」(同市八木養宜上)など島内の店頭と、淡路島牧場のネットショップ(送料別)で販売する。
需要が増えれば製造ペースを上げ、生乳の仕入れ先を増やすことも検討するという。淡路島牛乳TEL0799・42・5013