人権週間(4~10日)に合わせ、タレントで工業デザイナーの稲川淳二さん(69)が3日、兵庫県姫路市本町のイーグレひめじで講演した。先天性の障害があり、4年前に他界した次男について語った。
姫路市人権啓発センターが主催。約320人が聴き入った。
稲川さんは「いじめが増え、困った人への無関心が強まり、情けない状況だ」と日常の実感を話した後、次男について述懐した。
次男は頭の骨などに異常があり、生後4カ月で大手術を経験。医師に「助からないか、助かっても普通の生活は無理だ」と告げられたといい、「生きていても大変。障害者の父親だと認めたくない気持ちもあった。助からない方がいい、と思ったこともある」と当時の不安を吐露した。
だが、小さな体で手術を乗り越えた次男と対面した瞬間、「生きようとしている」と実感。「自分を恥じた」と振り返った。
次男が亡くなった後の喪失感の大きさにも触れ、「命ほど重いものはない」と力を込めた。(宮本万里子)