姫路

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宮内里彩さん
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宮内里彩さん
成清柊平さん
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成清柊平さん

 19日公示、31日投開票の衆院選が近づく。子育て、就労、介護など暮らしを取り巻く課題はどれも切実。長引く新型コロナウイルス禍の影響は多岐にわたり、中山間地には過疎化に悩む地域も多い。兵庫県姫路・西播磨の有権者が一票に託す思いを世代別に聞いた。

■育休取得企業に働き掛けを 人材会社社員・宮内里彩さん(25)=相生市

 2018年秋に姫路市内の人材会社に入社しました。JR姫路駅近くの貸し会議室を運営しながら、仕事をいったん離れた女性の再就労を支援する社内プロジェクトに携わっています。

 研修などに参加する女性の多くは結婚や出産を機に退職しています。育休から復帰したものの、思うような働き方ができず仕事を諦めた人もいました。

 私たちはそんな女性に、正社員として再び活躍してほしいと考えています。でも、参加者を見て感じるのは年収103万円や130万円の壁です。収入がこの金額を超えると所得税を納める必要が生じたり、夫の扶養から外れたりします。「それならパートでいいや」と正社員での就職を断念する人も見てきました。

 「入所できる保育園が見つからない」といった悩みも聞きます。預けないと仕事ができないのに、働いていないから預けられない。「どっちを先に進めればいいの」と相談を受けます。

 そんな境遇は私の将来とも重なります。私もいつか結婚して出産したい。育児をしながら今の仕事も続けたい。でも、本当にできるのかは正直、不安です。

 男女それぞれが社会の中で自立し、一緒に子どもを育てていく。そのために、国には企業側へ社員の育休取得の促進をもっと呼び掛けてほしいと思います。

 例えば、有給休暇を取得させない企業に罰則があるように、育休取得が進まない企業にも罰則を設ける。厳しいかもしれませんが、企業の意識を変えるにはそれぐらいの改革が必要ではないでしょうか。

 私はいつか産休や育休から職場復帰したときに、後輩に「子育てはハンディにならないよ」と言えるようになりたい。私自身が成功事例になって、社内外の体制に提言したいですね。(聞き手・安藤真子)

■安易に使い捨てしない社会に 木工見習い・成清柊平さん(21)=佐用町

 出身は東京です。高校卒業後はいわゆるフリーターをしていました。音楽が好きなので、CDショップでのアルバイトが楽しかったんです。ただ昨年、新型コロナウイルスで生活が一変。田舎で暮らしたい気持ちは昔からあったので、ためらうことなく移住を決めました。友達には驚かれましたけどね。

 父の友人でもある椅子職人の迎山直樹さん(佐用町乃井野)にお世話になり、工房で働かせてもらうことになりました。この世界に飛び込んだ理由はたくさんあります。単純に、木を扱う仕事が面白そうだった。そして、もの作りをきちんと学ぶことが、自分の中のテーマである「再利用」につながると考えたんです。

 小さい頃から、中古で安く買ったオーディオ機器やラジオを修理して使うのが好きでした。中古とはいえ、良質な機材からはいい音が出ます。夢中になるうちに、「古くなった物を使い捨てるのは良くないぞ」と気付きました。

 国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)の影響か、日本でも環境に配慮した法整備が進み始めたと感じます。この調子で、安易に物を使い捨てることのない社会になってほしい。僕自身はまだまだこれからですが、ここで修業を積み、木材の有効活用や、ちょっとした修理を請け負える「何でも屋さん」を目指したいです。

 地方への移住促進も、長い目で見ると日本の持続性に関係しますよね。東京で働くメリットは今はあるかもしれないけど、東京でしかできない仕事は多くないはず。誰もが好きな場所で働き、生きていける仕組みを整えてほしい。僕のような長髪の男性が見た目で判断されることのない、多様性に富んだ社会も早く実現してほしいですね。(聞き手・勝浦美香)

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