お笑い芸人と飲食店店長の二刀流を実践する男性が兵庫県姫路市にいる。吉本興業所属で、同市四郷町の飲食店「きさらぎ」店長の似関本（にせきもと）賢太郎（本名・滝沢俊貴）さん（３２）だ。昨年９月まで暮らした栃木県佐野市のご当地グルメ「佐野ラーメン」の味を姫路で再現。ごま風味の担々麺とともに、自慢の一杯を販売する。（田中宏樹）

　似関本さんは埼玉県出身。消防士として働き、２０１７年に同社のタレント養成所「ＮＳＣ」に入った。持ちネタは元阪神タイガースの関本賢太郎氏の物まねだ。ピン芸人として月１回ほど若手が集う舞台に立ち、本人そっくりの人懐っこい表情で笑いを誘う。

　２１年１月には地域に密着する栃木県の「住みます芸人」として佐野市に移住。地元のラーメン店を巡って会員制交流サイト（ＳＮＳ）で発信する傍ら、店舗でのアルバイトを通して調理のいろはを学んだ。

　栃木で生活するうち、「タイガースのネタなら関西で勝負したい」との思いが募った。芸人活動と野球観戦ができる居酒屋経営の両立も考えたが、姫路に住む知人からきさらぎでのラーメン販売を提案され、２１年秋に店長に就いた。

　ラーメンの麺は佐野市の店舗から仕入れ、独特のちぢれ麺にあっさりとしたしょうゆ味のスープが絡む。ごまみそを利かせた担々麺は辛さを抑えた。似関本さんは「麺にスープがのってくるような感覚を楽しんでほしい」と話す。

　今年はピン芸人日本一を決める「Ｒ－１グランプリ」に挑戦し、２回戦で敗れた。「もっと有名になり、誰かに夢を与えられる存在になりたい」と目標を口にする。

　ラーメン７００円、担々麺８００円。きさらぎＴＥＬ０７９・２７８・３１１１（午前１１時～午後１０時。水曜定休）