公共の場で誰もが自由に弾くことができる「ストリートピアノ」が、兵庫県三田市に初めて設置される。三田で育ったシンガー・ソングライター、ミチコさん(36)の呼び掛けに、地域住民らが協力して実現。来年1月、イオン三田ウッディタウン店(同市けやき台1)に登場予定といい、市内の高校生が絵の具で彩り、世界で一つのピアノを作った。(喜田美咲)
「三田と音楽と人をつなぐ三音人(さんおんとー)プロジェクト」として、市民ら5人が実行委員会を立ち上げて企画した。
ミチコさんは3歳から三田に住み、ピアノを始めた。歌い始めてからは、偶然出会った人たちと喜びを分かち合えるとして、ストリートライブを大切にしてきた。涙を流して「歌声に救われた」と声を掛けられたことや、音楽を始めるきっかけになったと言われたこともある。
ストリートピアノも弾き手によって違う感動や癒やしを与えてくれる。言葉がなくても心を通わせられる。生まれ育った街に音楽を通して芸術文化を根付かせたいと、市に相談して準備してきた。
ピアノは三田から市外に引っ越す住民が、「どこかへ寄付したい」と申し出たものを引き取った。
地域住民で協力して手掛けた作品にするため、装飾は有馬高校、北摂三田高校、三田松聖高校の美術部員計9人に依頼。専用の塗料を使い、市のマスコットキャラクター「キッピー」や三田の山々、有馬富士公園など、親しみの持てる絵を描いた。
有馬高校2年の女性生徒(17)は「ピアノに絵を描くという発想が斬新で楽しい」。別の女子生徒(17)は「小さい頃、遊びに行った思い出のある公園など『三田といえば』という場所を描いた」。三田松聖高校2年の男子生徒(17)は、いつか行ってみたいという永沢寺の花のじゅうたんを描き、「外で活動できたのは初めて。買い物に行く時にピアノを見られるのでうれしい」と話した。
ピアノは来年1月、同店の二番街に設置される。並行して、2台目の計画も進めており、ピアノの維持管理費はインターネットで資金を募る「クラウドファンディング(CF)」で集めたいとしている。
CFは12月初旬から同月末までCFサイト「キャンプファイヤー」で実施する。三田市文化スポーツ課TEL079・559・5144









