親にほったらかしにされている子どもが「放置子(ほうちご)」と呼ばれ、波紋を広げている。近所を歩き回り、顔見知りとなった人の家に上がっておやつをねだったり、夜まで居座ったりする子どもを表す言葉で、インターネット上でも対処法を巡る書き込みがあふれる。さらに深刻な育児放棄(ネグレクト)につながる恐れもあるとされ、専門家は「家族を支援する仕組みが必要だ」と指摘している。
「友達じゃなかったの?」-。小学1年の息子がいる関東地方在住の30代の主婦は、毎日自宅に遊びに来て夕食まで食べていく男の子が、「実はよく知らない子」だと知った時の衝撃が忘れられない。
きっかけは、息子が同級生を自宅に連れてきた時。息子たちの後ろに、少し年長の男の子が立っていた。女性は息子の友達と思い、家に入れておやつを振る舞った。
男の子はその後、息子がいない時も含め、毎日のようにやってくるようになった。断りもなく冷蔵庫を開けては食べ物やお菓子を求め、夜になっても帰ろうとしなかったという。
不審に思った女性が息子に事情を聴くと「僕も知らない子」との答えが返ってきた。学校に相談したところ、男の子は3年生。相談後に訪問はやんだものの、外を歩き回る状況は改善されなかった。
放置子という言葉が現れたのは、2010年ごろとされる。ネット上は自身の子どもの友達でない子に甘えられ、戸惑う人の書き込みが寄せられる。放置子の親は、自分の子どもに関心が低いといった特徴があるという。ネグレクトの“一歩手前”で、子どもの体調が悪くなると命の危険に関わりかねない。
文部科学省によると、18年時点で親としての自覚を促し、子育ての悩みを親同士で共有する「親学習」などの取り組みを実施している団体は全国に少なくとも約700。専門職員が子育てに課題を抱える家庭を訪れ、相談に乗る団体もある。
神戸市こども家庭センター(児童相談所)にも、「近所の子が毎日うちに来る」「夜遅くまで公園に子どもだけでいる」など、放置子に関する相談や通報が寄せられている。同センターは広い意味で育児放棄(ネグレクト)と捉え、家庭訪問などで親に改善を促している。
担当者は「食事を与えないなど、ネグレクトの中でも重大な事態に至らないよう、早い段階から保護者に関わることが大事だ。情報があれば、もれなく状況確認や指導をしている」と説明する。
【子ども問題に詳しい松蔭大の深谷野亜准教授の話】核家族化が進み、親になる自覚や、子育てとはどうあるべきかを知らずに子を持つ人が増えた。放置子を、善良な個人だけで支えるのは限界がある。親を含めた家族を、社会で支えていくセーフティーネットを構築することが不可欠だ。









