兵庫県は、2025年の大阪・関西万博やカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を見据え、尼崎から淡路島にかけてのベイエリアに高級ホテルを誘致し、大規模な国際会議や展示会が開けるMICE(マイス)機能の集積を図る構想を検討している。インバウンド(訪日外国人客)を県内に呼び込むため、日本国際博覧会協会に神戸や姫路市、淡路島でのサテライト会場設置を提案する。
県によると、18年度に県内を訪れた観光客は約1億3701万人で、過去最多の前年度から約204万人減少。全体の9割以上が日帰り客だった。18年の外国人の延べ宿泊者数も約126万人で、大阪(約1512万人)や京都(約627万人)に水をあけられている。
県は隣接する大阪での万博開催を好機と捉え、20年度からの次期地域創生戦略の地域別プロジェクトで構想を検討。阪神・淡路のベイエリアを生かす取り組みとして盛り込む。
万博会場の夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)と海を挟み隣接する尼崎臨海部で、来場者が車と船などを乗り継ぐ「パークアンドライド方式」を想定。客船を使えば尼崎市内の造成地とは10分程度で結べるという。
神戸や淡路島での海上交通網の整備も視野に、万博会場や近隣のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)から来場者らが県内に流入する効果を見込み、大規模な宿泊施設や会議施設の誘致を進める。
サテライト会場は、神戸の医療産業都市を中心とした展示に加え、世界文化遺産・国宝姫路城、「花博」にちなんだ花や食を発信する淡路島など、万博の関連施設として検討する方針。
井戸敏三知事は「万博の会場へ来場者がどうアクセスするかという議論はあまりされていない。多く訪れる外国人は(兵庫にとっても)起爆剤となる。正式な万博の施設ではなくても、淡路や神戸、姫路でサテライト的な施設を造って呼び込みたい」とする。(井関 徹)