兵庫県豊岡市などは1日、昨年から実施している「豊岡演劇祭」を9月9~22日に本格開催すると発表した。将来的には世界有数の演劇祭を目指しており、今年からは海外の劇団も招く予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて規模を縮小した。中心となっている劇作家平田オリザさんは「但馬から芸術復興の灯をともしたい」と語った。
平田さんは昨秋、同市に移住。主宰する劇団「青年団」も東京から移転した。まちづくりと連動した演劇祭を市と企画し、昨年9月の「第0回」には、延べ約1400人が訪れた。今年は初の本格開催だったが、新型コロナ禍を受けて何度も協議した末、予定通り9月の開催を決断した。
公式プログラムは青年団のほか、富山県で国際演劇祭を長年手掛ける演出家鈴木忠志さんによる、玄武洞での野外公演など10団体14作品を予定している。
メイン会場は、青年団の新拠点となる江原河畔劇場(同市日高町日置)に加え、城崎国際アートセンターや市民会館など6会場。周辺会場の「フリンジプログラム」は10団体を選ぶ。本来、フリンジは劇団などが自主的にさまざまな場所で同時多発的に行うが、感染症対策で公募方式にした。
来場者見込みは総客席数の5~7割で計算し、延べ3600~5千人。参加団体向けのガイドラインを策定し、稽古時の対策から劇場の使用方法などを細かく示している。平田さんは「感染者数の少ない地域から、安全対策を取りながら回復していくことはとても重要」と意義を話した。
料金やスケジュールなど詳細は、前売りチケット発売の8月8日までに発表する。(石川 翠)
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