神戸市は21日、2019年度の決算見込みを発表した。一般会計では、待機児童解消に向けた保育施設整備や庁舎建て替えなどのハード整備で投資的経費が伸び、借金に当たる市債の残高(後に国から交付税措置のある臨時財政対策債は除く)が20年ぶりに前年度よりも増えた。一方、税収増や経費削減などにより、財政健全度は、全国20の政令市の中で上位を維持する見通し。(石沢菜々子)
一般会計の歳入は8127億100万円(前年度比5・8%増)、歳出は8036億7900万円(同5・8%増)。20年度に繰り越す財源を除いた実質収支は13億2100万円。市有地売却などの財源不足対策を講じずに9年連続で黒字を確保した。
市が独自に発行した市債の残高は6123億円で、前年度から3億円増加した。阪神・淡路大震災後、財政難に陥った市は市債発行を抑制してきたが、財政健全化が進み、駅前再整備などの人口減少対策を強化したことから増加に転じた。
臨時財政対策債を含めた市債残高は計1兆1430億円で、市民1人当たりに換算すると72万5千円。政令市の平均(74万8千円)を下回っている。
歳出では、投資的経費が前年度の3割増の852億円と大幅に増加。新長田エリアの活性化のため兵庫県とともに整備した新長田合同庁舎(39億円)や保育施設の整備(34億円)、兵庫区役所建て替え(22億円)などが大きく、それぞれの事業費の8割程度に市債を充てた。
市税収入は、個人所得や企業の事業収益、新築マンションの増加などを背景に、前年度比84億円増の3093億円だった。ただ、人口規模が同程度の政令市に比べて個人市民税や法人市民税の伸びが鈍く、人口流入や企業誘致による増収策が課題となっている。
財政の健全度を示す指標は年々上向いている。収入に対する借金返済の割合を示す「実質公債費比率」は4・6%で、前年度から1・1ポイント改善。将来の借金負担の重さを示す「将来負担比率」も66・1%で4・9ポイント好転した。
 
       
					 2020/8/22 07:00
2020/8/22 07:00

 
											



 

 
 
 
 





