兵庫県の井戸敏三知事は29日、県の新型コロナウイルス感染症対策本部会議後に会見し、県内4市(神戸、尼崎、西宮、芦屋市)の飲食店に要請している営業時間短縮の対象地域を18市町に拡大した理由などを説明した。主なやりとりは次の通り。
-時短要請を拡大した理由は。
「(要請をしていなかった)東播磨や姫路の感染者が急激に増えている。人口10万人当たりの感染者が増えているエリアを対象にした」
-時短要請を市川町や福崎町などの姫路周辺の中播磨まで拡大したが、かなり危機感を持っているのか。
「中播磨は、直近1週間の感染者が先週と比べ一気にゼロから7人に増えている。姫路の周辺なので一体的に取り扱った」
-時短要請後も感染者が増加している。
「年度末の人の出入りの多さが背景にあると考える。特に若い人たちの発症者数が増えている。歓送迎会などで長時間、大勢で飲食をしたり2次会のカラオケに行ったりするなどの行動が背景にあるのでは」
-「まん延防止等重点措置」への考えは。大阪との調整はあるのか。
「以前、選択肢の一つとして検討を開始していると言ったが、今も同様。現時点ではまん延防止措置の申請をする状況とは見極められない。大阪との調整は始めていない」
-感染者が増えれば選択肢の一つということか。
「まん延防止措置では時短の要請を命令できる。最終的には罰則の適応もありうる。ただ今の(時短要請の)実施状況が高いので、申請するかどうかの見極めは慎重にしたい」
-PCR検査で2度陰性と診断されないと退院できない変異株感染者の増加などで、ひっ迫している病床への新たな対策は。
「変異株感染者の観察事例が少ないので、国は用心のために知見を集めている。通常の患者と同じか近い形で対応できないか相談しているが、県独自の判断で運営するのは時期尚早」
-まん延防止措置の要請は、緊急事態宣言と同様に大阪と共同歩調でやるべきか。
「一律には考えられない。同様の措置を取ったほうがいいという判断もあるので、現状分析を踏まえた上で相談していく。別々ということも考えられる」
-手続きは。
「対策本部会議と協議会を経て国に対して要請していく」
-時短要請に従っている店舗数は。
「90数%。ほとんどの店舗に協力していただいている。隠れて営業しているところは分かりかねるが、基本的には協力してもらっている」
-時短要請を県内全域で実施しなかったのはなぜか。
「発症件数が地域で違う。この1週間で1桁にも達していないところもある。クラスターの発生など経過をみて追加もありうるが、今の時点で10人に満たない地域は避けた」
-第4波の入り口に立っている認識は。
「横ばいの状態が3月いっぱい続いて最後の週になって急激に上がり始めており、警戒している。第4波の始まりでなければいいと思う」
-緊急事態宣言の再発令について。
「全く念頭にない。まん延防止措置の申請をするかしないかが先決だと思う」
-緊急事態宣言の解除から年度末にかけて感染者が急激に増えている。
「はっきり言って残念。これだけ手を替え品を替え要請を続けていても、一人一人が家庭内にウイルスを持ち込まないという自覚がないと遮断できない。ウイルスは人を選んでくれないので、しっかりとした行動をしてほしい。県民の中には自粛疲れもあるかもしれないが、年度替わりの時期はより注意してもらいたい」
-感染拡大防止にはどのような広報活動が効果的か。
「1年やってきて、これをすればいいという手段は見つかっていない。皆さん一人一人に自覚してもらって、人にうつさない行動に徹してほしい。何度も申し上げている呼び掛けが、バックグラウンドミュージックにならないように、原点に返って行動に責任を持ってほしい」