兵庫県宝塚市立小学校で教職員6人が男児の姿を無断で撮影していた問題について、市教委が会見で説明した主な内容は次の通り。
「市立小学校の教職員6人が2018年10月~20年11月、特定の男子児童の学校内での様子を、保護者に無断でスマートフォンやデジタルカメラで撮影していた。児童は今年2月から不登校になっている。不適切な行為であり、保護者に謝罪した」
-なぜ無断撮影をしたのか。
「この児童は以前から指導の大変難しい場面があり、カメラを向けて『写真を保護者に見せるよ』と伝えると収まることがあったらしい。特効薬というといけないかもしれないが、カメラを見せると行為がやんだ。それで撮影したり、撮影するふりをしたりしていた」
-どんな行為が写っていたのか。
「例えば授業中に教室の窓から外へ出て、立ち入り禁止の職員駐車場で遊んでいたり、掃除の時間なのに音楽室の掃除をせず、台の上を飛び回ったりする様子が写っていた。保健室で体調不良の子が処置を受けているところに入ってきて、処置台の上で座ったり寝転んだりしている様子もあった。何度か注意や制止しても聞かないときに撮影していた」
-何が問題と捉えているのか。
「指導の難しい児童について、保護者と情報共有をして、指導に生かすために必要ならば、その行為を撮影することはあり得る。ただ、あくまで保護者の同意を得て行うべき。しかも、撮影して『保護者に見せるよ』と伝えることで言うことを聞かせようとしていた。不適切な指導法だった」
-言うことを聞かない児童を威嚇し、脅して行動を抑止しようとしたのか。
「教育的配慮を欠いていた。脅すような行為と言われても仕方ない」
-教職員の内訳は。
「教諭4人。職員が2人。管理職は含まれていない。3カ年にまたがるうち、1年目は担任が含まれている」
-画像のみか。
「動画はなく、画像が25枚確認された。うち14枚は、児童が注意を聞かずに教職員が困ったときに、その行為を撮影したもの。残る11枚は、児童が蹴って破損した植木鉢や、握りつぶしたプラスチックボールなど物の写真。公用パソコンで教職員がアクセスできるサーバーの共有フォルダーに保存されていた」
-発覚の経緯は。
「昨年11月、児童の相談を受けた保護者から市教委に問い合わせがあった。その日のうちに学校に事実確認を指示し、1週間後に学校から『そうした事実があった』と報告があった」
-不登校との因果関係は認めるのか。
「大きな原因の一つになったのは間違いないと思う。ただ、児童が保護者に伝えてから、3カ月は学校に通っていた。保護者には謝罪を受け入れてもらえておらず、そうした状況も児童に不安を与えていたのかもしれない。複合的な原因だと考えている」
-児童や保護者には今後どう対応する。
「児童には支援員をつけるとか、勉強の遅れにも対応する。本人が安心して学校に来られるよう、寄り添っていくと保護者にはお伝えしている。しかし入り口の段階で信頼していただけていない」
-教職員6人は同じ小学校にいるのか。
「春の人事で3人が異動し、自己都合で2人が退職した。同じ学校に残っているのは教員1人」
-撮影は6人しか知らなかったのか。校長も知らなかったのか。
「調査中だが、校長が把握していたという情報は得ていない」
-なんと説明しているのか。
「校長からは『保護者に児童の様子を理解してもらうために、いろんな行為を撮影したようだ。それが撮影そのものによる抑止力に移行してしまったとみられる。不適切だった』と説明を受けている」
-処分は。
「県教委に権限があり、聞き取り調査が終わり次第、何らかの処分があると推測している。県教委には3月25日に報告している」
-ほかの教職員が同様のことをしていたり、ほかの児童が撮影されたりしていないか。
「やっていない」
-画像を見て、教職員らが面白がるようなことはなかったか。
「あったとは確認していない」